議題に上ると予想されるのは『核・ミサイルの完全廃棄』『経済制裁解除』『朝鮮戦争終結』の3つだが、正恩委員長が熱望するのは、何を置いても経済制裁解除だろう。
「正恩委員長の秘密資金を管理する『党39号室』の金庫が枯渇し始めているのです。このため、党や軍幹部に対する求心力が低下しています。そればかりか、正恩委員長が威信をかけて取り組んでいる元山葛麻海岸観光地区の建設費用も、外貨不足で全国民から寄付を募らなければならないほど。北朝鮮の外交官らは党務そっちのけで、駐在国の実業家などに対して投資を勧める営業マンに成り下がっている」(国際ジャーナリスト)
一方のトランプ大統領も、まんざらではなさそうだ。
「米朝交渉に詳しい筋によると、トランプ大統領は資金援助で正恩委員長を“やる気にさせる”つもりです」(北朝鮮ウオッチャー)
もしそうなれば、日本には大きな懸念が浮上する。米国が、自国を射程内に捉える大陸間弾道ミサイルの廃棄だけで妥協し、経済制裁を解除しかねないからだ。
「去る1月21日、米議会超党派シンクタンク『戦略国際問題研究所』が、北朝鮮北西部の新五里の基地に中距離弾道ミサイル『ノドン』の連隊が配備されていると発表しました。同基地は北が公表していないうちの一つだとされますが、会談ではこれらが議題に上らないのでは、と心配されています」(同)
2月15日、トランプ大統領が記者会見で突然、安倍晋三首相から北朝鮮問題でノーベル平和賞候補に推薦されたと語った。その理由は、「以前は日本上空をミサイルが飛んで、しょっちゅうアラームが鳴っていたけど、今、日本人は安心している。私が北朝鮮と対話したおかげ」だそうだ。
核もミサイルも持ち続けながら、経済発展を成し遂げようとする正恩委員長。自身の商売と名声のために外交を利用しまくるトランプ大統領。そんな“茶番”のダシに使われているのが安倍首相なのだ。
ミサイル『ノドン』を破棄せず、日本に向いたままにしておいて「ノーベル平和賞に推薦」もないだろう。