「海外では『第三者に禁止薬物を混入された』と主張するケースが多々ある。しかし、それを立証するのは難しく、今回は鈴木の自白があったから小松選手は救われ、命拾いした格好です」(体協詰め記者)
被害者に対しては“おとがめなし”。これに対し、他競技を含めた海外の競技協会、連盟は「日本の処分は甘すぎる!」と怒っていたという。
「もし日本以外の国だったら、小松選手も処罰されていました。『第三者に禁止薬物を混入されたとしても、それは自己責任』というのが、禁止薬物に対する海外の判断基準です」(スポーツライター・飯山満氏)
前例もある。“自分勝手”と揶揄される中国でさえ、北京五輪前に自国の有力マラソン選手を切り捨てている。第三者に禁止薬物を混入されたことは立証できたものの、「飲み物を管理しきれなかったアナタも悪い」と、出場停止に処したのだ。開催国のメンツを守るためにも、「自己責任」の海外基準に徹し、救われたのは、対象選手の“名誉”だけだった。
「ほとんどの国が国内の地方裁判所で判決を求められるよう、禁止薬物に関する法律を整備しています。日本はドーピングの前例が極めて少ないので法整備がされていない。今回の事件で鈴木、小松両選手は弁護士を立てていますが、裁判所で争えるのは、それ以前に受けていたとされる嫌がらせのみ(窃盗、業務妨害)。今後、飲み物などを監視するカメラ設置は徹底されるでしょうが、法整備も急がなければならない」(同)
“被害者も処分”と言う世界基準もどうかと思うが…。