さて、2月9日から始まる平昌冬季五輪(韓国)に出場する羽生の動向が気にかかる。日本選手団の結団式が1月24日に行われたが、式終了後に有力選手が取材陣に囲まれた中、意外な御仁もその対象となった。日本スケート連盟・フィギュア委員長で、今大会で男女の総監督も務める伊東秀仁氏である。五輪でぶっつけ本番となる羽生の回復具合を確かめるためだ。
「(状態が)よくなっていると希望していますし、五輪に間に合ってほしいと思う」
海外メディアもいたからだろうか、このように伊東氏は「希望する」「思う」と、まるで情報を掴んでいないような口ぶりだった。
「羽生は昨年12月半ばから練習を再開したと聞いています。ただ、その練習場所や内容、回復具合に関しては、連盟スタッフでもごく一部にしか知らされていません」(体協詰め記者)
総監督の立場にある人物が、正確な情報を掴んでいないはずがない。国内外を問わず、報道陣を煙に巻いたと見るべきだが、伊東氏はこうも語っていた。
「団体戦? (出場選手は)寸前まで決めなくていいルールでしょ? (羽生が)出る、出ないは連絡を取って決めたい」
フィギュアスケートには国別団体対抗戦がある。男女個人のフリー、ショートプログラム、ペアで合計得点を競うのだが、伊東氏の言う通り、どの選手が出るのかは直前まで伏せておくことができるのだ。
「陽動作戦ですよ。出る、出ないを伏せたことで、ライバル国はかなり頭を悩ませるはず。団体戦の練習には参加するでしょうが、出ない素振りを見せて出ることも十分に考えられる」(同)
国別対抗戦は2月9日。五輪の開幕セレモニーが行われる日だ。羽生も入場行進には参加する予定。ライバル国はその一挙手一投足を見て、「出る、出ない」を予想することになり、世界中の羽生ファンはいきなりテレビに釘付けとなる。
羽生の復帰戦は1日でも早く見たい。隠密行動でますます注目は集まるが、一番喜んでいるのはホスト国である韓国かも。
羽生結弦が“ニンジャ”になる?