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球界因縁のライバル(27)古田VS野村「生まれるべくして生まれた確執」

 ポスト野村候補の古田敦也氏VS続投に執念を燃やす楽天・野村克也監督。かつてはヤクルトでID野球を売り物にした野村監督は、捕手・古田をID野球の申し子として育て上げ、蜜月関係にあった。

 「捕手・古田はグラウンド上では、野村監督に代わる司令塔、監督代理のようなものだ」と言われ、実際に野村監督率いるヤクルトと毎年のように優勝争いを演じた巨人・長嶋茂雄監督はこう激白している。「ヤクルト戦は古田のリードとの戦いだ。相手はヤクルト投手陣ではない」と。
 危険球と背中合わせ、バッターの胸元をドンドン攻めさせる古田の大胆なリードに巨人打線は手玉に取られると同時に、怒りを爆発させた。死球を巡りあわや大乱闘というシーンは何度もあった。「古田はわざとぶつけさせた。確信犯だ。許せない」という怒りから、報復に巨人側が古田に対し、死球を与えることも珍しくなかった。野村監督=捕手・古田のコンビは巨人にとってそれだけ大きな脅威になっていたのだ。
 それがいつの間にか、野村監督と古田の間には距離が出来てきた。「もう古田が野村超えをして、一流の捕手になっているのに、いつまでも『古田はオレが育てた』というノムさんの態度に古田も我慢できなくなったからだ」とアンチ野村の巨人OBは解説する。
 確かに、野村監督は同じ捕手出身で常勝西武の監督だった森祇晶氏と同様に「自分が野球を一番良く知っている。ワシ以上の監督はおらん。勝てば自分のサイ配の賜物、負ければ選手の責任」という自己中心的な監督だ。捕手・古田が捕手・野村を超えることなどあり得ないと思っているし、認めたくない。

 そういう考え方だから、「古田も偉くなったもんやな。ワシがヤクルトの監督を辞めたら、年賀状もよこさん」などと、あちこちで古田批判を口にする。一流捕手になれた育ての親であることは間違いなくても、こうあからさまにバッシングされれば、古田氏としても心穏やかでないだろう。自然と距離を置くようになる。しかも「実は、ノムさんは『メガネをかけた捕手などいらない』とドラフトでの古田指名に反対した。が、スカウトの強力な推薦で渋々了承した」という入団時の楽屋裏話が公然の秘密になっていた。
 「いや、古田も問題だ。育ててもらいながら、一人前になったら距離を置くなんてとんでもないヤツだ」という野村監督擁護派もいるが、要は古田氏VS野村監督の確執は生まれるべくして生まれたといえる。もっと突っ込んだ因果応報説を口にする南海ホークスOBがいる。「育ての親を大事にしなかったヤツが、古田の悪口を言える立場か」と語気荒く、こう一気にぶちまける。
 「鶴岡親分にテスト生として取ってもらいながら、一人前になれば知らないふりどころか反対派に回る。自分が兼任監督になると、今度はサッチー(沙知代夫人)がチーム内のことに口を出す。『公私混同だ』と激怒した鶴岡親分が野村解任を球団首脳に進言してクビになると『元老に吹き飛ばされた』と逆恨み。鶴岡親分が亡くなっても葬儀にも参加しない。そういう恩知らずの人間が古田を批判する資格があるのか」と。「グランドには銭が落ちている」という名言で有名な、南海ホークスの黄金期を築いた親分・鶴岡一人氏への野村監督の許さざる不義理を糾弾するのだ。
 因果応報説には、なるほど説得力がある。古田氏VS野村監督の確執は、果たしてどういうエピローグになるのか。これからがクライマックスだ。

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