伝説のチャンピオンから未知なる強豪まで── 「フリッツ・フォン・エリック」呪われた鉄の爪一家 “悲劇”の正体に迫る!

スポーツ 週刊実話 2019年03月19日 23時03分

 必殺のアイアンクローを武器にトップヒールとして一世を風靡したフリッツ・フォン・エリック。その一方、地元のダラスではベビーフェイスとしてリングに上がり、プロモーターとしても大成功。富と名誉を手にして“エリック王国”を築いたが、その息子たちは次々と不幸な死を遂げた…。
※ ※ ※

 オカルトめいたエピソードの多いプロレス界だが、その大半は演出のため大げさに話を盛ったものである。

 キラー・コワルスキーの“耳そぎ事件”などはその代表的な例だろう。コワルスキーのダイビング・ニードロップで左耳をそぎ落とされた相手選手が、そのショックで自殺した…というのだが、事実は微妙に異なる。シューズのひもが引っかかって耳がそげたアクシデントは実際に起きたものの、試合後、コワルスキーは病院に駆けつけ、相手選手も笑顔で見舞いに応じていたという。自殺は耳そぎ事件が原因ではなく、プライベートの問題に起因したものであったと、のちに関係者が明かしている。

 しかし、コワルスキーはこの事故をきっかけに、それまで“ターザン”コワルスキーなどと名乗っていたリングネームを“キラー”に改めている。さらにコワルスキーは、若き日のアントニオ猪木も憧れたといわれる肉体美を誇っていたが、あえてその筋肉を落として妖しいムードを漂わせることで、トップヒールに上り詰めている。

 そうしたオカルト系の逸話の中でも、極めつけと言えるのが“エリック家の呪い”だろう。

“鉄の爪”としてその名を全米に轟かせたフリッツ・フォン・エリックは、6人の息子のうち5人を亡くしている。なお、エリック家の長男は6歳のとき、池にはまったところに高圧電線が触れて感電死しているため、プロレスラーとしてはケビン、デビッド、ケリー、マイク、クリスの5兄弟。そのうちケビン以外の4人が早世しており、これをプロレス的演出と同列に語っては不謹慎かもしれない。しかし、その裏側にただならぬ暗部が見え隠れするのも事実なのだ。

 この中で最初に亡くなったのはデビッドで25歳のときのこと。1984年2月、全日本プロレス参戦のため来日した際、宿泊先の都内ホテルで急死している。公表された死因は急性胃腸炎だが、真相はステロイド剤の多用による内臓疾患だったとする説が、当時から根強くささやかれていた。

 同年5月、エリック一家のホームタウン・テキサス州ダラスで行われたデビッドの追悼興行において、弟ケリーはリック・フレアーを下してNWA世界王座を戴冠。父親のフリッツ以来の悲願を達成する。

 「もともとはデビッドが新王者に内定していたそうで、ケリーの王座はいわばデビッドへの香典のようなものでした。それもあってケリーは、1カ月弱の短命王者に終わります」(プロレスライター)

 そのケリーは’86年、オートバイ事故により右足切断の重傷を負う。’87年に奇跡の復活を果たしたものの、同年にマイクが精神安定剤の過剰摂取により、23歳で服毒死する。

 さらに’91年には、末弟のクリスがピストル自殺。デビュー1年目の21歳であったが、身長165センチとレスラーとしては小柄なことを苦にしており、日常的にステロイド剤を使用していたといわれている。

 ’93年にはケリーが33歳でピストル自殺。ドラッグ使用で有罪が確定したことを苦にしてのことだった。

 「彼らの父であるフリッツは、デビッドがNWA王者として世界を回り、地元ダラスはケビンやケリーらが守るというような形を夢見ていたそうですが、それを果たすどころか最悪の結末となりました」(同)

★王国繁栄のため犠牲となった!?

 フリッツ自身は’97年、68歳のときに肺がんで亡くなっている。晩年には妻と離婚し、かつて情熱を燃やしたプロレスビジネスからも身を引いていたという。こうして見ると、エリック兄弟の死に共通するのは、呪いではなくドラッグであったことが分かる。

 プロレスに限らずスポーツ界全般において、ステロイド系の筋肉増強剤がごく普通に使われていた時代ではあったが、兄弟そろって肉体や精神を害するほどまで、いわば薬漬けになっていたというのはさすがに異様であろう。

 実際は社会問題として追及されてしかるべきもので、これを“呪い”や“悲劇”と形容するのは、スキャンダル隠しのための演出とも言えなくはない。

 「噂レベルではありますが、フリッツは英才教育と称して、息子たちがプロレス入りする前から心身ともにしごき上げ、さらには体を大きくするため筋肉増強剤を使用させていたとの話も聞きます」(同)

 ダラス地区のプロモーターとして、息子たちを地元スターに育て上げようという情熱が、ひとかたならぬものであったことは想像に難くない。

 ただし、唯一の生き残りであるケビンは後年のインタビューで、「そうした父親からのプレッシャーはなかった」と、答えていることは付記しておく。

 ケビンの2人の息子たち、ロスとマーシャルは日本のプロレスリング・ノアでデビューしたが、現在はアメリカの地域団体で地道にプロレスラーを続けているようだ。

フリッツ・フォン・エリック
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PROFILE●1929年8月16日〜1997年9月10日。アメリカ合衆国テキサス州出身。
身長193㎝、体重125㎏。得意技/アイアンクロー。

文・脇本深八(元スポーツ紙記者)

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