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『人工知能による軍拡競争』を制するのは中国かロシアか

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提供:週刊実話

 中国が脅威の“青田刈り”を敢行している。

 昨年10月、中国有数の軍事研究機関である北京理工大学が、5000人以上の応募者から31人の高校生を選出した。次世代のコンピューターウィルスや潜水艦、ドローン、戦車に搭載可能な人工知能(AI)搭載兵器システムの設計を担わせるためだ。同大では選抜の際、「戦う意欲」を重視したといわれている。

「この分野では、米中が先頭に立つ可能性が高いが、その取り組み方は大きく違います。現状、西側諸国政府はこの分野での中ロからの出遅れを憂慮していますが、両国を警戒する最大の理由は、それによって生じ得る軍事的な影響です。AI搭載の無人兵器が戦場に投入された場合、西側諸国の指揮官にとっては、判断ミスによって戦争の開始や急激なエスカレートを招く可能性がありますし、個々の車両や艦艇に人間が搭乗しているか不明瞭になりますから、戦場での標的決定が大変面倒になります。中国の研究者によれば、無人艦艇や航空機などによる攻撃を行うかどうかの決定は、すべて人間の指揮官によって行われるが、今後もその方針が続くとは限らないと恐ろしいことを述べています」(軍事ジャーナリスト)

 これまで西側諸国では、紛争における生死に関わる判断は人間によって下されるべきであり、コンピューターやアルゴリズム(問題解決のための方法や手順)は、単にそうした判断を支援するだけにとどめるとの信念を守ってきた。

 だが、世界で最も強力な専制国家であるロシアと中国は、国内では政府支配を維持するため、そして海外では敵を打倒するために、AIを駆使することを躊躇していない。

 「ロシアは昨年、AI関連投資予算の倍増を発表しており、今年半ばまでに新たなAI国家戦略の『ロードマップ』を策定すると発表しています。すでにロシアは、サイバースペースでの優位と情報戦に欠かせない要素として、同国のオンライン版『トロールファーム』(ネットで故意に偽情報を拡散したり、荒し行為を行う集団)を使い、デマを流布するためにソーシャルメディアへの自動投稿を駆使しているとみられます。また中国は、顔認証ソフトを含む大規模な自動監視システムを使って、少数民族ウイグル族の反体制派を弾圧しています。中国もロシアと同様に独裁国家ですから、市民のコミュニケーションを監視することに自制力は利きません」(国際ジャーナリスト)

 ところが西側はそうはいかない。グーグルは昨年6月、従業員からの要求に押され、国防総省との契約更新を見送った。同社の多くの技術開発者は、自分たちがいずれ制御不能の“ターミネーター”(殺人ロボット)を作ることになりかねないという懸念を抱いているためで、国防プロジェクトにくみすることに二の足を踏んだからだ。

 対して中国は前述の“青田刈り”を見るまでもなく、完全な軍学一体体制を敷き、20年代前半には武装可能な無人の大型潜水艦が世界の海洋に展開され、南シナ海など領有権紛争の絶えない海域で敵対する部隊を標的にすると予想されている。

「米国防総省は昨年1月、ロシアが核兵器搭載可能とみられる無人の大型原子力潜水艦を建設中だと報告していますし、中ロは無人ロボット戦車にも力を入れており、ロシアは最新型をシリアの戦場で試験運用しているくらいです。 また無人艦艇は、長期にわたって存在を秘匿したまま非常に長い距離を航行できる可能性があり、やっかいですが、中国は昨年12月、無人水中グライダーの試作機が、過去最長となる141日間をかけて3619キロに及ぶ航海を達成したと公表しています」(軍事ライター)

 海上自衛隊の「いずも」改装が、攻撃型空母か否かという論議をしている日本とは、質もレベルも段違いなのである。

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