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プロ野球くじ導入&11球団試合中継全配信で変わる勢力図

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提供:週刊実話

 昨年11月に、第14代日本野球機構(NPB)の新コミッショナーに就任した斉藤惇氏(前日本取引所グループCEO)が早速、辣腕をふるった。「大谷翔平ロス」を「プロ野球くじ」ではねのけ、返す刀で若いネット世代のファンを取り込もうとしているのだ。

 球界は長年にわたり、賭けの対象になる野球くじをタブーとしてきた。1940年代に一度行われたものの、'69年に発覚した「黒い霧事件」で、野球賭博に絡む八百長に関与した選手を永久失格処分とした。この反省から、視線をそらしてきた経緯がある。
 前任の熊崎勝彦コミッショナーが元東京地検特捜部長だったように、常に“法の番人”が八百長疑惑や暴力団組織との関係に目を光らせてきたのはそのためだ。しかし、今度のコミッショナーは、金融界からの抜擢。この人選の鍵を握っていたのが、プロ野球くじだった。

 NPBは2月21日、沖縄県那覇市で中期経営計画小委員会を開き、「野球くじ」を来季からスタートさせる検討を始めた。NPB幹部と12球団の代表者が出席したが、反対する球団はなかったという。
 2015年に超党派のスポーツ議員連盟が要望した際は、オーナー連の反対が多く断念していた。同年、複数の巨人選手が絡む野球賭博が世間を騒がせたことを受け、「慎重論」に追い打ちをかけたのだ。

 流れが変わったのは、今年1月に急逝した星野仙一氏(前楽天球団取締役副会長)の遺志だ。
 「プロは一銭も取らなくたっていい。それを地方自治体へまわして環境整備へ充て、もっと球界の底辺を拡大させるべきだ」
 生前、星野氏は右肩下がりの球界の将来を憂いて、「toto(スポーツ振興くじ)はやるべき」と強く主張していたのだ。
 「野球くじを導入した場合、NPBと12球団などが行う振興事業への助成金は30億円以上になることが予想されます。このお金を少年野球、中学・高校の部活動、各地の独立リーグの助成に充てる、というのが星野氏の主張でした。プロ野球くじに拒否反応を示してきた球界首脳たちも、“星野氏の遺志”という大義名分ができて方向転換しやすくなり、導入賛成に雪崩を打ったのです」(某球団フロント幹部)

 清濁併せ呑む星野氏が、プロ野球くじ導入を急ぐ背景には、もう一つの狙いがあった。韓国、台湾などと交流戦を行うなどして海外のプロ野球ファンを獲得し、totoを海外展開する野望だ。その視線の先には、中国も見据えていた。
 「国内でアマゾンに苦戦し、ヨーロッパや中国でのネット通販から撤退した楽天市場は、オンラインモールから銀行業務に主力を移しています。その楽天銀行は、totoを手掛けており、星野氏はDAZN(ダゾーン)によるプロ野球のネット中継と野球くじのセット販売で利用者増を狙っていました。中国人は、世界一博打が好きな国民性で知られています。彼らを取り込めれば、巨大な市場に発展するとみていました」(楽天OBの野球解説者)

 “打倒ソフトバンク!”の狙いもある。各球団の成績は、親会社の資金力が左右する。野球くじで捻出する助成金があれば、この流れを変えることも可能。つまり、球界の構造改革だ。
 「四国・九州をはじめ、北越や関西には独立リーグの球団がいくつもあります。これをプロ野球の二軍に位置付けようという考えです。現状では一軍の主力選手が負傷すれば自球団の二軍から引き上げます。それを、独立リーグから補充する図式に変える。そうなれば、各球団ともに二軍を大がかりに所有する必要がなくなり、経費が削減できる。その浮いた資金でメジャーから大物選手を呼ぶなり、FA選手を獲得する。そうすれば、ソフトバンクに匹敵するチームが作れるという構図です」(同)

 一方で広島カープのように高卒の好素材を獲得し、時間をかけて一流選手に育てる球団もある。しかし、二軍が有名無実になれば、今にようにはいかなくなる。
 「星野氏の構想を高く評価していたのは、実は巨人です。毎年のようにFA補強し、大型新人も獲得するが、一軍で出番がなく、飼い殺しになっているケースが多い。そこで二軍を縮小し、メジャーのビッグネームを獲得する。そうすれば戦力がアップし、人気も高まる。これはナベツネさんが提唱する“オールスターチーム構想”とも重なってきます」(スポーツ紙デスク)

 野球くじが始まれば、独立リーグがある松山や新潟に本拠地を移す球団も出てくると予想される。
 東京オリンピック・パラリンピックで本拠地球場を失うヤクルト、朴槿恵前大統領関連の贈賄罪でソウル中央地裁から実刑判決を受けたことで、重光昭夫氏がオーナー代行を辞任したロッテ。この2球団は今後どう動くのか見物だ。

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