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お笑い芸人 豪快伝説 其の十『宮迫博之』

 お笑い芸人。コメディアン。エンターテイナー。そんな彼たちがかつて刻んだ偉大なる伝説、爆笑列伝を紹介していく連載の10回目。テンバウトは、雨上がり決死隊の宮迫博之だ。

 宮迫博之ほど持っている芸人はいない。主演映画では、多くの賞を受賞。出演したドラマ、NHK大河は軒並み好視聴率。山口智充とデュエットをすればヒットソングとなり、冠番組『アメトーーク!』(テレビ朝日系)は、視聴率もDVDセールスも絶好調。絵に描いたようなマルチタレントだ。

 植えつけられたキャラは、恐妻家。いっさいの家事を放棄した妻に服従するキャラは、完成されたお家芸だ。しかし、それも嫌いではない。ひとり息子が「パパのオムライスが世界で一番おいしい」と言うたびに、目尻を下げる。

 ところが、狂気な人格は時として、ギリギリアウトになることもある。事件が起こったのは、5年ほど前。現場は、大阪ミナミにある芸人の常連居酒屋だ。

 その夜は、店の拡大移転を祝して、大勢の芸人が宴を開催。すると、宮迫が動きだした。最初のターゲットは、バッファロー吾郎の木村。割り箸で頭を刺され、噛みつかれ、濡れおしぼりで攻撃されて、平手打ち。さらに、偶然落ちてきたサイン色紙の角で頭を突かれ、目に梅干しを入れられた。

 第二の犠牲者は、たむらけんじ。1万円もしたお気に入りのTシャツを破かれ、体をライターで炙られた。再び割り箸で頭を刺され、押しピンまで当てられた。

 事件はいよいよ佳境へむかう。メインターゲットは、ブラックマヨネーズの小杉竜一。芸人の間で有名だった「コンハブ」(肛門にはぶらしを刺すゲーム)をするため、逆襲に転じたたむけんは、「小杉の肛門に豚肉とハブラシ詰めこむ」とニヤリ。次の瞬間、小杉の肛門から生の豚肉とはぶらしの先が…。

 この一部始終を『やりすぎコージー』(テレビ東京系)で放映すると、上層部が激怒。社を巻き込んでの一大騒動となり、打ち切り寸前になった。のちに、番組は終了。この事件が大きな加点材料になったのかは不明だが、宮迫のドSはこの一夜で浸透したことは、確かである。(伊藤由華)

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