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副首相処刑、女子大生自殺… 北朝鮮崩壊3秒前「狂犬病」と化した金正恩

 金正日総書記は生前、椅子から転げ落ちたことがある。ルーマニアの独裁者チャウシェスクが自国の革命軍によって公開処刑された映像を見たからだ。一方、金正恩委員長もまた、リビアの独裁者カダフィの“最期の姿”を見ておののき「不純極まる映像を見たものは厳罰に処す!」との“お触れ”を出した。
 「正恩が恐れているのは国外からの情報の流入。つまり『アラブの春』の北朝鮮版に震えているのです。その背景に金日成・正日時代には高かった軍の忠誠心が完全に揺らいでいることが挙げられます。北朝鮮から日本へ流出した機密文書によると、全国に広がる軍陣形や高射砲の位置、射程範囲まで明確に地図化されていますが、驚くことに首都平壌だけが軍の空白地になっている。すなわちクーデターを怖がるあまり、軍を置いていないのです。正恩は軍に対して『山奥に落ちる針1本の音も知らせよ』『逆らう者は粛清せよ』と厳命しましたが、裏を返せば正恩は、軍によって“逆さ吊り”にされることを極度に恐れているのです」(北朝鮮ウオッチャー)

 それでも西側からの“不都合な真実”は、米韓から中国経由でUSBメモリーやCDとなって持ち込まれている。人々が情報に飢えているからだ。それを知る北朝鮮の秘密警察である国家安全保衛部は、こうした“ご禁制品”の流入に目を光らせるが、いかんせん情報解禁の欲求は止めようがない。
 「韓国に家族と共に亡命したテ・ヨンホ駐英国公使が、亡命の理由の一つに『子供の将来』を挙げたように、海外生活を味わった上流層の子供が帰国を拒否したりするのに親たちは戦々恐々なのです。こうした現象は中韓の娯楽映像などに接する機会の多い中朝国境地域に住む庶民層の青少年も同様で、ある脱北者が『ドラマや映画に登場する中国や南朝鮮(韓国)の女たちは皆美しいが、北朝鮮の女たちは全員貧しさのあまり不細工だった』と正恩体制を罵倒しています」(同)

 北朝鮮のイマドキの若者たちは「市場(ジャンマダン)世代」と呼ばれ、親も思想統制が取れないことに手を焼いているという。同世代は、幼少期に1990年代中盤から始まった「苦難の行軍」といわれる大飢饉を体験したことから、それまでの古い世代とは違い、国から押し付けられる思想学習に嫌悪感すら抱いているのだ。
 「北の若者は、陰では正恩の髪形や洋服センス、たばこをふかし太り過ぎの容姿を『ダサい』とまでこき下ろしています。こうした反チュチェ思想(朝鮮労働党の政治思想)的な風潮にブチ切れた正恩は『党の思想で徹底的に武装させよ』と大号令を発し、7月20日、青年同盟中央委員会はその指示に従い、北朝鮮の最高エリートが通う『金日成総合大学』などの学生に対し検閲的な抜き打ちテストを行いました。ところが、8割以上の学生が正恩の『新年の辞』のタイトルすら知らなかったのです。また同大などエリート校では最近、責任追及への恐怖から党幹部ではなく経済部門や海外での勤務希望者が増えているといわれますが、駐英公使の亡命で海外赴任者への監視の目は一層厳しいものになっており、彼らに安息の地はありません」(北朝鮮に詳しい大学教授)

 反正恩的な風潮は、党幹部や金持ちなど上流層になるほど目立っている。この夏、党幹部である金英哲統一戦線部長でさえ、職務執行に問題がある党幹部らが対象の『革命化教育』という思想教育を受けた。ただし、北朝鮮特有の監視社会では、こうした不満がクーデターや『アラブの春』のような体制打破に結び付かない。かつて黄長ヨプ元朝鮮労働党書記が亡命しても体制はびくともしなかった。
 「北朝鮮では秘密警察の国家安全保衛部が常に高官らの動向を監視し、把握していますが、下手に報告すれば自分の身を滅ぼしかねないので、正恩の意向やご機嫌を測りながら報告しています。こうなると完全にゴマすり。というのも正恩は感情に流されて突発的にキレる傾向があり、この恐怖が幹部同士を疑心暗鬼にさせ、さらには曲がった忠誠心や競争から互いを密告するケースが増えており、体制不安を増幅させているのです」(在韓ジャーナリスト)

 昨年来、体制に嫌気が差した北朝鮮高官の脱北が相次いでいる。韓国の情報機関・国家情報院によると、昨年だけで20人が韓国入りした。その中には正恩の統治資金を管理する党39号室の幹部や工作機関の大佐が含まれており、同院では正恩時代に入って「忠誠心が著しく低下していることの証左」と分析している。
 先頃、金勇進教育担当副首相と農業相、芸術関係者が平壌郊外の姜健総合軍官学校で、高射砲によって木っ端みじんに公開処刑された。副首相が処刑された理由は「座る姿勢が悪い」というもの。あまりに理不尽な死刑宣告だ。

 遅すぎたとはいえ、この7月、米国は正恩委員長を人権侵害の首謀者としてようやく名指しで明記した。韓流ドラマを取り締まる組織の抑圧に耐えきれず23歳の女子大生が自ら命を絶った、あるいはサボタージュしたとの理由で労働者のアキレス腱を切った、反体制的な女性の赤ん坊を猛犬の檻に投げ込んだなど、むごたらしい拷問の情報がもたらされているからだ。
 前出の中朝国境地域の住民は「中国で暮らしたい」と嘆いた。だが、嘆いたところで、体制が崩壊しなければ自由の扉は開かない。

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