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神秘に彩られた葵祭の前儀「御蔭祭」──京都・下鴨神社

 5月15日は京都三大祭のトップを飾る「葵祭」当日。京都御所を出て下鴨神社から上賀茂神社へ向かう古典行列は、平安絵巻さながらの優雅さで知られている。この葵祭と不可分の祭祀とされるのが、三日前の12日に行われる下鴨神社の「御蔭祭」だ。

 御蔭祭の中心は、本宮の祭神の荒御魂(あらみたま。新しい、荒々しい魂)を祀る御蔭山・御蔭神社での「御生(みあれ)神事」。御生とは神の誕生であり、また神の来臨を乞う意味でもある。つまりこれは、御蔭山にて新しく生まれたご神霊を本宮に迎え入れ、祀られている和御魂(にぎみたま)と一緒になることで、神威の甦りを願うというものだ。
 深夜まで降り続いた雨がピタリと上がった朝、下鴨神社こと賀茂御祖神社へ向かった。長い参道には参拝客の姿はまだまばら。出会うのは平安衣装をまとった祭礼参加者ばかりで、ちょっとしたタイムスリップ気分だ。彼らが行列をなし、ご神霊を迎える大役を果たす。

 下鴨神社にて祓いの神事などを終え、神宝類を受け取った行列は宮司以下神職らとともに境内を練り歩き、御蔭山へ出発する。規模も華麗さも葵祭には叶わないが、とても厳かで心打たれる眺めだ。現在、行程途中は交通事情のため自動車を利用する。
 正午より執り行われる御生神事は、残念ながら非公開。ただ神の降臨の瞬間を幕の外で静かに待つだけだ。この後、行列はご神霊とともに山を下り、途中、糺の森にて東遊が奏される「切芝神事」などをはさんで本宮へ帰還する。
 上賀茂神社の「御阿礼(みあれ)神事」も同じく12日。こちらは深夜に行われ、すべてが非公開。こうした神秘の儀を経て、あの華麗盛大な葵祭はその当日を迎えることになる。

(写真「奉仕者を祓い清める『樹下神事』の一部」)
神社ライター 宮家美樹

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