search
とじる
トップ > トレンド > 人形師と少女人形の儚い映画「VEIN-静脈-」レイトショー

人形師と少女人形の儚い映画「VEIN-静脈-」レイトショー

 きたる7月2日より渋谷アップリンクXにて映画「VEIN-静脈-」のレイトショーがはじまる。
 この映画は、いまからちょうど一年前に亡くなった人形師である岡本芳一と、岡本芳一が操る少女人形が共演する作品である。

 この映画にはセリフというものが一切ない。出演者は岡本芳一と少女人形のみ。
 人形師岡本が少女人形を操り屈服させようとしているようにも見える。逆に少女人形が岡本を操っているようにも見える。
 この映画は、人形師と少女人形の儚(はかな)い愛の物語なのである。
 そこに漂うのは命のある人形師と命のない(はずの)少女人形のエロスとタナトスの世界。死の世界と生の世界の境界線を漂う愛と痛みの世界を表現しているようにも思える。
 岡本芳一と少女人形の動きは、アングラ演劇者のようでもあり、暗黒舞踏であるようにも見える。

 アングラやサブカルという文化が注目を集めだしたのは70年代からであった。それが一般の人にも注目されるようになったのは、文化が爛熟したバブル経済時代の80年代からバブルがはじけた90年代であった。

 人形師の岡本芳一は、70年代半ばに等身大の人形を使った演劇をはじめ80年代には野宿などしながらリヤカーを引いて日本各地を回り、街頭や神社などでパフォーマンスを行い続けた人である。まさしくアングラやサブカルの全盛期を生き抜いた芸術家の生涯であった。そして稀代の人形師岡本芳一は2010年7月6日に「骨髄異形成症候群」という難病とが合併症により永眠。享年62歳であった。

 映画「VEIN-静脈-」を監督した渡邊世紀氏は語る。
 「海外で高い評価を受けながらも日本ではあまり知られることのなかった岡本芳一。彼の表現は世界中を見渡しても唯一無二で、日本が誇るべき芸術遺産だと自分は思います。そして、ずっと舞台で表現を続けて来た彼が、まるで自分の運命を受け入れるかのように、最後に映像という形に残る媒体で作品を遺しました。彼の表現に対する執念、生き様を感じていただけたら幸いです。
 そして映画は、“モノ”(人形)と“生きモノ”(人形師)の間にしか生まれない「禁断の領域」で、愛と痛みの物語が交錯します。人形に命を吹き込む、とか、人形がいかに生きているように見えるか、とは違う次元、観た事のない世界を是非「体験」しにいらしてください」
 とのこと。
 映画「VEIN-静脈-」は、2011年7月2日(土)〜22日(金)渋谷アップリンクXにて、連日21:00からレイトショー。同時上映として、岡本芳一のドキュメント映画「人形のいる風景〜ドキュメント・オブ・百鬼どんどろ〜」(追悼特別版)とのことである。
 くわしくは映画「VEIN-静脈-」の公式HPまで。(http://vein-dondoro.jimdo.com/)

(巨椋修(おぐらおさむ) 山口敏太郎事務所)

関連記事

関連画像

もっと見る


トレンド→

 

特集

関連ニュース

ピックアップ

新着ニュース→

もっと見る→

トレンド→

もっと見る→

注目タグ