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金本監督と矢野コーチがぶつかる? 「2017年の正捕手争い」

 失策97にこだわるか、それとも、将来のクリーンアップ構想を進めるか…。

 金本知憲監督(48)は糸井嘉男外野手(35)の獲得に成功すると、「中堅・糸井、右翼・福留」の構想を明かした。2016年シーズンは中堅手と捕手が日替わり状態、これに遊撃手・鳥谷の不振も重なって、金本監督は守備陣営の基本ともいえるセンターラインを構築できなかった。俊足の糸井を中堅で固定したい気持ちは分かる。しかし、そのセンターラインの生命線は「捕手」である。正捕手不在は金本監督も急務の課題とし、秋季キャンプで改めて「横一線の競争」と訴え、捕手陣にハッパをかけていた。一人の捕手がシーズンを通してスタメンマスクを被るのは、チームの理想像だが、来シーズンも「日替わり」になりそうだ。

 「金本監督は就任以来、コーチスタッフの反論は歓迎すると話していました。でも、実際はコーチ陣も遠慮していたようです。その反省が秋季キャンプでも話し合われ、来季こそ、忌憚なく意見をぶつけ合おう、と」(球界関係者)

 その通りだとすれば、金本監督はリーグワーストの失策97をカウントした守備難の弱点と、将来のクリーンアップ構想を天秤に掛けることになる。

 金本監督と打撃担当コーチ、掛布雅之二軍監督(61)が抱く近未来のクリーンアップ候補は、高山俊、原口文仁、新人の大山悠輔。3人ともまだ20代前半だ。「生え抜きの大砲が育つまでまだ時間が掛かる。その間、糸井に助けてもらって」の金本発言にも筋は通っている。しかし、原口は捕手である。捕手としての守備能力だが、秋季キャンプでは坂本誠志郎、梅野隆太郎らとの正捕手争いで苦しんでいた。実際に走者をつけて二塁盗塁を防ぐバッテリーの守備練習がとくにそうで、坂本が7回やって全て刺したのに対し、原口は1、2回。梅野も4、5回刺していた。原口には右肩を故障した過去もあり、シーズン中、盗塁阻止率が2割を切った時期もあった。一塁手転向が囁かれたのはそのためだ。

 守備力、肩の強さを考えると、正捕手争いは坂本か梅野ということになる。関西で活動しているプロ野球解説者がこう言う。

 「原口は肩、腰の故障歴があり、二軍戦でも捕手での出場機会が少なかった。捕手としての実戦感覚が戻ってくるのはこれからだし、今季はボールを受け取ることも少なかった一軍投手とバッテリーを組んだので、この時点で評価を下すのはかわいそう」

 金本監督が一塁手コンバート案を撤回したのもこのへんに理由がありそうだ。

 原口の打撃力は群を抜いている。梅野の打撃練習を見ると、鋭い打球を連発していた。リーグ5位に沈んだチーム打率2割4分5厘を考えると、原口はスタメンから外せないが、矢野燿大作戦兼バッテリーコーチは正捕手争いについて必ずしも金本監督と意見が一致していないという。

 「配球と肩の良さがポイント。矢野コーチは『そつなく、守備のできる捕手』を理想としています」(関係者)

 この「そつなく」の言葉にあてはまるのは、やはり坂本だ。この考えは編成スタッフにも浸透している。今秋のドラフト会議でまた一人、捕手を指名している。7位の長坂拳弥(22=東北福祉大)だ。彼の特徴は二塁送球のスローイングモーションが小さく、鋭いボールを投げる。他球団だが、東北地区担当のスカウトの言葉を借りると、「(対戦打者の)見送り三振が多い。裏をかくというか、対戦打者が何を狙っているのかを瞬時に見極める力がある」とのこと。坂本と同じ強肩好リードの捕手というわけだ。この矢野コーチ好みの「そつなく」の捕手がまた一人増えたことを考えると、原口は守備面で“脱落した”とも解釈できるが…。また、矢野コーチは「1年目は金本監督に遠慮していた。これからはどんどん意見を言う」とも宣言しており、原口の打撃力を買う金本監督と正捕手論でぶつかる可能性は高い。繰り返しになるが、原口の打撃力は惜しい。失策97の改善を急ぐのなら、守備力の高い捕手をスタメンに送らなければならない。だが、チーム打率2割4分5厘の底上げを優先するならば、原口は外せない。

 正捕手争いは2017年も終わらず、何人かの捕手を併用することになるのではないだろうか。原口と「そつなく」の坂本の両方を生かすとしたら、コンバート案の再燃か?

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