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書評「トウキョウソナタ」田中幸子著、竹書房文庫

 東京に暮らす、ごく普通の家族がたどる崩壊から再生までの道のりを、家族のきずなをテーマに見つめ直した人間ドラマ。小泉今日子や役所広司らを起用し、カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞した同名映画の待望の書籍化だ。

 リストラされたことを家族に告げられず、毎朝出勤するふりを続けている父親。それを見抜きながら黙っている母親。大学生の長男は、TVを見て世界平和のために米軍へ入隊すると言い出す。小学生の次男は、渡された給食費で家族には無断でピアノのレッスンに通っている…。
 家族4人が皆バラバラに行動し、全くそろわない不協和音を奏でる。それはまるで、現代社会の家庭崩壊を痛烈に映す鏡のようでもある。
 物語の後半は強盗あり、事故あり、拉致ありの何でもありで、4人のドラマがハイテンポで展開していく。それぞれの道の先に、彼らが再び暖かい家族のテーブルへと戻れる日はやってくるのか?意外な幕切れにも注目だ。(税別680円)

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