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ワンジル選手の転落死、母と愛人の証言が食い違いドロ沼化

 5月16日に自宅バルコニーから転落し悲運の死を遂げた、2008年北京五輪の男子マラソン金メダリスト、サムエル・ワンジル選手。その死の真相を究明すべく、ケニア警察当局の捜査が始まった。

 ワンジル選手の母・アンさんは「息子は妻に部屋で殺された。その後バルコニーから放り投げられた。あの高さから人が死ぬわけがない」と、妻による他殺説を主張。事件当日ワンジル選手は、妻とは別の女性と自室のベッドにいるところを妻に見つかり部屋に閉じ込められ、その後バルコニーから転落死した。

 ところが渦中の“愛人”ジェーン・ドゥタさんが捜査線上に登場し、事態はさらに混迷を深めた。ドゥタさんが、母の他殺説を真っ向から否定したのだ。ドゥタさんの証言によると、事件前日の15日夜、ドゥタさんが勤めるレストランにワンジル選手が出向き、「妻は今日いないから」とドゥタさんを自宅に誘ったところ、妻が帰宅し修羅場となったという。激怒した妻がカギを取り上げ、二人を寝室に閉じ込めた後、ワンジル選手がバルコニーから転落したと、ドゥタさんは自殺と主張する。

 それにしても、妻と敵対関係にある愛人が、なぜ妻の他殺説を否定するのか。誰かが貶められようとしているのか。ケニア国内には、莫大な成功を収め裕福になったワンジル選手を「変わってしまった」と快く思っていない関係者が多数いることから、何者かの怨嗟による仕組まれた事件である可能性も、相変わらず否定できない。いったい誰が、真実を知っているのか。

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