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利益1000億円“公約”赤信号 崖っぷち任天堂・岩田社長の吉凶

 「一段と波乱含みになってきたな」
 任天堂が発表した9月中間連結決算に対し、市場関係者が不穏な感想を漏らしている。中間期としては4年ぶりに最終黒字(6億円)を確保したとはいえ、本業の儲けを示す営業損益は232億円の赤字となり、岩田聡社長がコミットメント(公約)に掲げた来年3月期の「営業利益1000億円」確保には程遠い。もはや誰の目にも「達成は不可能」としか映らない以上、社長の責任問題に発展するのは必至。だからこそ、関係者は任天堂への“熱いウオッチ”を怠らないのだ。

 任天堂はドル箱であるゲーム機の販売不振から、一昨年3月期に373億円の営業赤字を計上、今年3月期も364億円の営業赤字に塗れるなど大苦戦を強いられている。堪りかねた岩田社長は今年の1月、携帯型ゲーム機『3DS』と据置型ゲーム機『WiiU』をテコ入れするほか、有力ソフトを投入することで、前述したように「2014年3月期に営業利益1000億円を達成する。これはコミットメントだ」と記者会見で熱弁を振るった。この会見は屈辱的ともいえる業績見通しの下方修正を受けてのことで、岩田社長は「目標を達成できなければ経営責任を取るのか」との質問に「それは私が『コミットメント』という表現を使ったことで理解していただけると思う」と答え、強い決意を示したはずだった。
 ところが6月総会で岩田社長は、にわかにトーンダウンする。イワク「今やるべきことは計画達成のために努力することだ。達成できなかった場合を考えることではない」と述べ、目標としていた1000億円の営業利益が達成できない場合も「辞めると言った覚えはない」と言い放ち、株主をアゼンとさせた。

 これには続きがある。任天堂は7月末に4〜6月決算を発表した。これまた49億円の営業赤字で、投資家は「これで社長交代が避けられない」と囁きあったが、岩田社長はどこ吹く風。またゾロ「達成できなかったら辞任する、とは言っていない」と強調したことからインターネットの掲示板に「社長はうそつき」とまで書かれる始末だった。
 9月中間決算の記者会見で記者団からコミットメントについて訊かれた岩田社長は「目標達成に向けて最善の努力をして必ず達成したいという意思を持っているという意味で申し上げました。そのことが『辞める、辞めない』という報道になってしまった以上は、言葉の使い方として適切でなかったかも知れません」等と苦しい釈明に終始した。

 そのクセ、岩田社長は「ゲームビジネスは年末商戦がうまくいくか、いかないかで業績が大きく左右される」特性を強調、そのため「今は業績予想を変更する時期ではない」と熱弁を振るった。しかし、任天堂ウオッチャーは「白々しい強弁だ」と斬って捨てる。
 「3DSは今年度に1800万台の販売目標を掲げているが、上半期でわずか389万台と目標の2割にすぎない。WiiUに至っては900万台の目標に対し、5%の46万台しか売れていない。欧米ではクリスマス商戦を見据え、3DSの廉価版として立体視機能と折りたたみ機能を省いた『2DS』を新たに発売するなどしているが、奇跡は望むべくもない。この時期おなじみの製造原価を割り込むダンピング販売に活路を求めたところで効果は限定的。むしろ、体力を低下させるのが関の山だろう」

 むろん、個人株主は天下の笑いものと化した任天堂の病根を先刻承知している。現に前出の掲示板には「社長をクビにして幹部を入れ替えてリストラを進めてほしい。値下げ以外の方法で、早くWiiUをたくさん売れる手段を考えてください」との切実な書き込みさえある。関係者は「今の任天堂には岩田社長に引導を渡せる人物がいない。それをいいことに見苦しい釈明を繰り返し、シャーシャーと開き直っているのではないか」と指摘する。
 「彼を後継者に指名したオーナー一族の山内溥相談役が9月に死去している。山内さんが健在であれば“社長失格”の烙印を押して引きずり下ろすでしょうが、今の彼にはもう怖いものがない。一度握った権力の座を簡単に放り出すわけがありません」

 山内氏は11年前に“次期社長”と目された娘婿の荒川實・米国任天堂社長を跳び越して岩田氏を社長に据えた。その直前に娘婿は任天堂を去っている。関係者が続ける。
 「山内さんには時価1600億円もの任天堂株(発行済み株式の10%)がある。これを相続する長男(現・任天堂社員)と娘婿が、果たしてどうするか。怖いものなしを吉とばかりに“公約”をないがしろにして岩田社長が続投すれば、株主総会の紛糾は確実。これは見ものです」

 任天堂のドロ沼迷走に拍車が掛かりそうだ。

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