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丸佳浩の獲得が繰り返される「巨人は阿部のチーム」

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阿部慎之助

「やっぱり、巨人は今も…」
 巨人・山口寿一オーナーが取材陣に対し、丸佳浩外野手(29)のFA補強に成功した喜びを明かした。山口オーナーによれば、丸獲得を進言したのは、高橋由伸前監督だという。丸が国内FA権を取得した8月、巨人の編成スタッフは「広島残留」を決め込んだが、高橋前監督は「努力すべきだ!」と声を荒らげた。その思いを原辰徳監督が引き継いだと説明していたが、プロ野球解説者の大半は「戦力の重複」「若手の出場機会が奪われるだけ」と、批判的な感想を述べていた。
「広島の戦力ダウンは必至です。これで来シーズンのセ・リーグは面白くなった」
 在京球団出身のプロ野球解説者がそう話してきたが、巨人に対する皮肉だろう。

 丸、炭谷銀仁朗、中島宏之、ビヤヌエバ…。中島とビヤヌエバには別途契約金も発生した。今オフの補強は、総額50億円強とも言われている。だが、巨人サイドの話を改めて集めてみたら、丸獲得は宿敵・広島の戦力ダウンを狙ったものではないことが分かった。
「巨人が着目したのは、丸の出塁率の高さです」(チーム関係者)
 今シーズンの丸の出塁率は、4割6分8厘。リーグトップであり、この数値は日本のプロ野球史においても歴代8位、選んだ四球の数は130個。こちらもリーグトップだ。つまり、丸は選球眼の良いバッターなので、たとえノーヒットに終わっても、「チャンスメイクしてくれる」と判断されたそうだ。
 しかも、「長打力のある左バッター」という点が、巨人にとって魅力的に映ったそうだ。
「近年、巨人は長打力のある左バッターが育っていません。今季、規定打席に達した巨人の左バッターの中で、最高は亀井の13本塁打。丸は故障で離脱しても39本塁打、97打点を挙げました」(前出・同)

 過去5年に遡ってみても、20本塁打を放った左バッターは、16年のギャレットだけだ。
 また、長嶋時代にゴジラ松井が鍛えられていたのを思い出すと、当時の巨人は落合博満氏だけではなく、広沢、清原、江藤といったスラッガーも次々と補強していった。当時、若手だった高橋由伸も含めてだが、これらの補強には、成長過程のゴジラ、ヨシノブに相手投手の厳しい攻めを集中させない狙いもあったという。
 その相手投手の攻めを分散させるためのスラッガー補強論、丸獲得には新4番・岡本和真の育成を加速させる目的もあった。
 巨人に詳しいセ・リーグ出身のプロ野球解説者がこう続ける。
「巨人は阿部慎之助のチームでした。4番打者であり、投手陣からの信頼も厚い正捕手でもありました。その阿部の衰えとともに巨人は勝てなくなりました」

「打撃力の高い捕手」は、なかなか現れない。その意味で言うと、阿部が元気だった時代の巨人は、捕手がストロングポイントでもあったわけだ。
「捕手・阿部」を補うのが炭谷、「左バッター・阿部」の後継者が丸。そう考えると、巨人の今オフの補強には大きな意義があったようだ。第二期原政権時、指揮官は「ウチは阿部のチーム」と口にしていた。勝つためには、「捕手・阿部」と「左の大砲・阿部」がどうしても必要だったのだろう。今も巨人は“阿部のチーム”なのだ。(スポーツライター・飯山満)

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