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蝶野正洋の黒の履歴書 ★台風19号で学ぶべき災害時の“心構え”

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提供:週刊実話

 台風19号が甚大な被害をもたらした。今回の台風については、事前の報道もあったし、かなり警戒して対策した人も多かっただけに、あんなに被害が大きくなるとは思わなかった。

 俺が住んでる地域にも、一斉に避難勧告が出て、ウチの家族は慌てて避難の準備を始めた。もう一方で「ハザードマップ」というものが発表され、洪水や土砂災害が起こる地域がポイントで出てるんだけど、ウチのところは入ってなかった。

 ハザードマップに従えば、ウチは避難する必要はないが、警報は出ている……どうしたらいいのか戸惑ったという部分はあった。

 今回は、9月に千葉に大きな被害をもたらした台風15号の教訓もあって、JRが早めに計画運休を発表するなど、街全体が台風に備えていたことは進化だったと思う。でも、それがすべて正しかったかどうかも検証しないといけない。

 例えば、俺は台風が来る前夜にクルマの給油に行ったんだけど、いつもは24時間営業のガソリンスタンドが閉まってたんだよ。あれはちょっとどうなのかなって思うよね。危険だとか、従業員を家に帰さなきゃいけないとか、いろいろ事情はあると思うけど、ガソリンっていうのは、ライフラインの一つ。俺たち民間の車両はまだしも、緊急で動かさなきゃいけないクルマとか、物流関係のトラックとかも、ガソリンがなかったら身動き取れなくなってしまう。最低でも、どのエリアのスタンドが開いているとか、そういう情報は欲しいと思ったよね。

 話は少し変わるが、多摩川の近くにある新日本プロレスの道場も浸水してしまったらしいな。俺が入門してからは、あそこまでの被害はなかったけど、それ以前は、台風が来たら必ずっていうぐらい被害が出ていたと聞いていた。

 あの道場のあたりは、元々は河川敷だったんだよ。だから水害が起こるような場所ではあった。ただ、今回は街のほうから流れてくる水が、多摩川に注ぐ前にせき止められて氾濫するという「バックウオーター現象」が起こったみたい。だから、今回は多摩川が決壊したというよりは、下水があふれた状態になってしまったということらしい。

 地球温暖化の影響で、台風の勢力や移動パターンが変化してきているから、いままでの災害対策が通用しなくなってきているという部分もあると思うよ。

 俺は、台風が来る2日前にテレビの取材で岩手に行ってたんだけど、現地のみなさんは「台風はここまで来ないから」と、ちょっとのんびり構えてるようなところがあった。台風が強い勢力を維持したまま東北まで上がってくるなんてことはいままでなかったんだろうけど、今回の災害を踏まえて、そういう常識を変えていかないといけないな。

 防災・救命活動には「自助」「共助」「公助」という考え方があるんだけど、基本となるのはやっぱり「自助」。俺が企画・発案して出させてもらった『防災減災119』という本では、災害時に自分たちの命を守る方法を学べるようになっているから、機会があったら目を通してもらいたい。

 消防の人たちがよく話しているのは「完全な防災は無理」ということ。だからこそ「自助」の意識を高くして、予想外の災害に対する心構えを持ってほしいね。

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蝶野正洋
1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。

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