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ヤマト運輸 アマゾン“当日配送”撤退の余波

 宅配最大手のヤマト運輸は、最大の得意先であるインターネット通販アマゾンの「当日配送サービス」の受託事業から撤退する方針を固めた。人手不足が深刻化する中、アマゾンとの取引拡大でドライバーの負担が過大となり、取引見直しに踏み切った。アマゾンは日本郵便などへの委託を増やす意向だが、事業の見直しを迫られる可能性もある。

 ここ数年、「送料無料」「当日配送」と銘打ったサービス競争が過熱している。業界内でも一番目立っていたのがアマゾンだ。年会費で税込み3900円を支払えば「プライム会員」資格が得られ、追加料金なしで何度でも「当日配送」サービスの利用が可能。午前中に注文すれば、夕方から夜までに商品が届く。
 無料で選択できることから、急いでいなくても「当日配送」を選ぶ利用者が多いという。当日配送は午前中に注文すると、数時間で商品を発送する。夕方から夜間に手元に届く仕組みだ。
 「アマゾン経由の荷物は、とにかくすさまじい量です。商品がヤマトの配送拠点に届くのが夜18時〜19時。それからドライバーが荷物を受け取り各家庭に配送、仕事が終わるのは21時過ぎ。これが長時間労働の原因です」(ヤマト運輸社員)

 配送ドライバーの人手不足で、大手運送会社は下請けに外注せざるを得ないのが現状だ。かつて、佐川急便がアマゾンから手を引き、ヤマトが引き受けることになった経緯も、このことに起因している。
 「当時の佐川は住宅地宛てのアマゾンの荷物を1個数百円で下請けに委託していたので、利益が思うように出なかった。そこで、外注を使わないヤマトが引き受けることになったのですが、予想を超えて荷物が増え、ヤマトのドライバーの負担だけが重くなっていったのです」(業界紙記者)

 物流業界は人手不足や運賃コスト上昇で頭打ち。ドライバーの1人は「正直、アマゾンの荷受は薄利多売でやりたくない」と語る。
 年収が下がる一方で、長時間労働を強要される運送ドライバーたちの悲鳴は、果たしてどこに“届く”のだろうか。

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