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日本人メジャーリーガーはどうなる? 「斎藤隆=ブリュワーズ」メジャー向きの日本人投手

 「メジャー向きの日本人投手だった」ということだろうか。日本時代は開花の場所を模索したまま終わってしまった。しかし、06年にドジャースに転じると、それまでの不振が嘘のような大活躍を見せた。メジャー6年目の今季は41歳を迎えるが、ダル・メルヴィンGMはオフの補強の成果として、先発のザック・グリンキー(トレード)と、リリーバー・斎藤の獲得を挙げていた。

 ミルウォーキーブリュワーズが斎藤に託したのは、“セットアッパー兼サブ・クローザー”。このちょっと複雑な立ち位置について、チーム事情を2年逆上って説明しなければない。
 ブリュワーズが「ストッパー不在の大ピンチ」に陥ったのは、2010年5月。メジャー屈指のクローザー、トレバー・ホフマンが一気に老け込んでしまったのだ。09年シーズンは、防御率、WHIP(1イニング当たりに許した走者の数/安打プラス四球)ともに、クローザーではナ・リーグトップだった。43歳を迎える大ベテランではあったが、もともと、ストレートの球速は打撃投手並み。多彩な変化球とクレバーな配球術で、591セーブを稼いだ“特異なクローザー”なのである。2010年も「やってくれる」と誰もが信じていたが、別人のように通用しなくなってしまったのだ。
 そのホフマンの抜けた穴を埋めたのが、ジョン・アクスフォード(27=24セーブ)。マイナーから引き上げた無名投手であり、「3Aでもクローザーの救援はほとんどなかった」というから、まさに大抜擢だった。

 このアクスフォードは、村田兆治氏のマサカリ投法にも似た投げ方をする。変化球のキレも鋭いが、とにかく「力任せ」なのである。ボールカウントが先行する試合もあった。「いつ壊れるか…」の不安もつきまとい、メルヴィンGMは「クローザーもできるセットアッパー」として、斎藤を獲得した。
 アクスフォードはクローザーになって、まだ2年目である。大多数のメディアは「斎藤をクローザーに専念させなければならない期間が必ず来る。また、アクスフォードを一人前にするつもりなら、斎藤とのダブルストッパーも」と見ている。斎藤自身もそのつもりでブリュワーズ入りしたはずだ。

 過去5年のメジャー生活において、転機はレッドソックスに移籍した09年ではないだろうか。前年、肘の故障でDL入り(故障者リスト)も経験したが、09年から変化球の比重が変わっている。斎藤をメジャーで成功させたのは「スライダー」とされている。その曲がりの大きいスライダーは日本時代では「ボールカウント」だったが、外角に広いメジャーでは「ストライク」となり、投球の幅も広げた。しかし、アナリストが米メディア向けに公開している資料によると、09年は「スライダー」よりも「カーブ」の比重が大きくなり、ストレートも高めで勝負するようになった。「スライダー」を少なくしたのは、相手チームに研究されたのを受けての対応策だろう。「高めのストレート」が増えた真意は分からない。

 「レッドソックスはブルペン陣が充実しているので、フラストレーションがたまっていたからではないか?」
 これは米メディア陣の冗談だとしても、斎藤は近年、変化球、ストレートの比率を変えながら安定した成績を残してきた。セットアッパー、クローザーの両方で結果を残していることも、ブリュワーズが獲得を決めた判断材料になったという。コントロールの良い分、荒れ球のアクスフォードともいいコンビになるのではないだろうか。

 ブリュワーズの本拠地『ミラー・パーク』は両翼105メートル。比較的広い方だが、開閉式ドーム球場であり、右中間、左中間はさほど広くない。アクスフォードの活躍で出番が減り、フラストレーションでストレート勝負に出たとき、大ヤケドする可能性もあるが…。(スポーツライター・飯山満)

外国人選手名の方仮名表記はベースボール・マガジン社刊『月刊メジャー・リーグ』を参考にいたしました。

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