変化球も織り交ぜて投球練習を行ったため、早期復帰を期待する声も聞かれたが、これに対して投手陣を統括する佐藤義則コーチ(60)が衝撃的な発言をした。
「(故障離脱する)前といっしょだったら、苦しい…」
要するに、このままでは通用しないというわけだ。
佐藤コーチは千葉ロッテとの試合前(5月6日)、報道陣から松坂のブルペン入りについて質問され、球団スタッフが撮影するビデオで投球フォームをチェックしている旨を明かした後で次のようにも答えた。
「ファームで長い期間の調整が必要になると思う。しっかり修正してほしい」
その後、右肘が上がらず、踏み出す側の左足の膝を外側に折れる悪癖が全く直っていないとも話していたそうで、事実上の戦力外通告になりかねない内容だった。
「松坂自身もまだ修正段階であることは明かしていました。リハビリのためとはいえ、チームを離れたことで“自己流の調整”がさらに色濃くなり、的確なアドバイスをできる人が周りにいなくなってしまった」(球界関係者)
さらに、ブルペン入りをしたといっても、松坂はまだ捕手を座らせていない。今後は、マウンドと同じ傾斜での投球、さらには実戦に必要なスタミナを養うため、100球以上の投球を重ねていかなければならない。松坂の現状を冷静に考えれば、2月のキャンプイン前に行う自主トレレベルの体の状態でしかないのだ。
「いまのソフトバンク投手陣を見渡すと、松坂が割って入る余地はありません。自主トレからここまで、全て自己流で調整したので、復活できなければその責任は全て自分ということに…」(同)
佐藤コーチがダメ出しした同日、工藤公康監督(52)は「(今後は)調子が落ちることもあるので、先のことまでは計画は立てられない。余裕を見てあげた方が…」と語ったが、その口ぶりからして戦力として見ていないことは明らか。ソフトバンクは優勝を争っている。一戦も無駄にできない以上、温情で松坂をなげさせるわけにはいかない。
「松坂にもプライドがある。キャンプ序盤から少年野球のように、衆目の前で手取り足取りの指導をされれば、悔しいと思うはず。そのへんが自己流調整を加速させたのではないか」(スポーツ紙記者)
佐藤コーチは「松坂の考えも大事にしてあげたいが、いまのフォームをどうにかしないと…」とも語っていた。松坂が投球フォームを崩したのはレッドソックス時代にさかのぼる。その後も移籍先の米球団で投球フォームの指導をされてきたが、悪癖は完全に体に染みついており、佐藤コーチも手を焼いているようだ。
4年16億円とも言われる契約だが、はたしてこれからどのくらいの価値を見出すことができるだろうか。