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取材メモを他社に誤送信した読売新聞記者が諭旨退職処分に

 暴力団関係者との癒着疑惑があった福岡県警警部補に対する捜査状況の取材メモを、誤って他社の複数の記者にメール送信して取材情報を社外に流出させたとして、読売新聞西部本社(福岡市)は8月14日、社会部の後藤将洋記者(33)を諭旨退職処分とすることを発表した。

 この問題などに適切な対応を取らなかったとして、井川隆明取締役編集局長(58)を役員報酬の2カ月30%返上した上で更迭、井川聡社会部長(53)を降格などの処分にするとしている。また、社会部デスクら3人と法務室長をけん責・減俸、社会部デスクら2人をけん責。コンプライアンス担当の西純一常務取締役総務局長は役員報酬の1カ月10%を返上する。

 後藤記者がメールを誤送信したのは同社によると、7月20日。後に収賄容疑で逮捕される警部補に関する捜査関係者への取材メモだったが、取材結果を同僚記者や上司にメールで伝えようとして、誤って福岡司法記者会に加盟する新聞・テレビ・通信社計13社の記者に一斉送信した。後藤記者は他社からの指摘で約10分後に誤送信に気付き、送信先の全員にメールの削除とその内容を外部に出さないよう依頼した。

 7月21日付朝刊で同社は、「警部補 組関係者に捜査情報 福岡県警聴取 現金授受認める」との記事を掲載。その後、取材メモとされる内容は送信先以外にも広がった。

 また、同月22日付朝刊(一部地域は23日付朝刊)で、「工藤会側に県警内部文書」として、福岡県警が指定暴力団工藤会(本部=北九州市)の関係先を家宅捜索した際、捜査手法に関する「本部長通達」が見つかったと報じた。県警は事実関係の確認を求める質問状を出し、同社は今月8日、「本部長通達が見つかった事実はなかった」として訂正記事を掲載した。県警側の抗議を受けた後、社会部長らは適正な対応を取らなかったことも処分の理由とされている。

 同社は「メールには取材源の特定につながりかねない情報が含まれていたことから、取材関係者を窮地に追い込み、多大な苦痛を与えたことを重視した」「取材情報を社外に流出させ、取材源の秘匿という最も重い記者倫理に反する重大な結果を招いたことから、厳正な処分で臨んだ」と紙面で説明。

 同社の弘中喜通社長は14日、「報道倫理上許されない行為。取材先の信頼を裏切り、報道機関としての信用を損ねたことをお詫びする。二度とこのような事態を起こさないよう、再発防止に努める」とコメントした。
(蔵元英二)

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