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書評「裸の女房」伊藤文学著、彩流社

 日本のゲイ雑誌の草分けで、4月に38年の歴史に幕を閉じた「薔薇族」。その名物編集長の著者が、最初の妻であり、前衛舞踊家として60年代を駆け抜けた伊藤ミカさんのとの思い出をつづった一冊が出版された。

 人前で肌をさらすというだけで大騒動だった60年代。エロティック文学「O嬢の物語」を舞台化し、一糸まとわぬ格好で精液に見立てた消火器を掛けられるというショッキングな舞台を演じたミカさん。

 著者の下着を洗濯するだけで照れ臭さそうにした田舎の純情な少女が、なぜ大衆の面前で全裸で踊るようになったのか。
 そこには前衛舞踏家として活躍する女性の素顔があり、うかがい知れない世界が広がる。
 時にミカさんの考え方についていけず、距離を取ったこともあった著者。それでもミカさんを生涯心から愛していた著者の気持ちが伝わってくる、心温まる一冊だ。(税別2000円)

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