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熱き侍たちが躍動!! メジャーリーグ Times レジェンド・イチローに引退の可能性が…

 今季はマーリンズの外野レギュラー・トリオ(スタントン、イェリッチ、オスーナ)が揃って故障もせず好調なため、4人目の外野手であるイチローは先発出場の機会がほとんどない。にもかかわらず、シーズン後半に入ってイチローはコンスタントにヒットを放っており、後半戦の打率は3割2分6厘という見事な数字をマークしている。
 そんな中、所属するマイアミ・マーリンズが12億ドル(1330億円)で元ヤンキースの看板選手デレク・ジーター率いる投資家グループに売却されることが決まった。球団の売却にはオーナー会議の承認が必要になるため、実際に球団運営が新経営陣に移行するのは10月第1週になるが、すでに球団のCEO(経営最高責任者)にジーター自身の就任が決まっており、低迷するチームをどう作り変えるか注目されている。

★イチローとジーターの絆を過大評価するのは禁物

 日本のスポーツメディアは、昨年、イチローがメジャー3000本安打を達成した際、最大級の祝福をしたことなどを引き合いに出して、2人は特別な関係なのだから、ジーターのCEO就任はイチローのマーリンズ残留にプラスに作用すると報じている。しかし、筆者は逆に、ジーターのCEO就任でイチローがマーリンズに残留できる可能性は低くなったと見ている。
 なぜならジーターは、マ軍がこれまで堅持してきた「若手のレギュラー陣に、彼らのお手本になる質の高いベテランを1人加えてレベルアップを図る」というポリシーを、継承しない可能性が高いからだ。

 2014年オフにヤンキースがイチローとの契約更新を見送った時、米国のスポーツメディアはイチローと契約する球団は現れない可能性が高いと見ていた。だが、唯一、予想外のマ軍が手を挙げて、イチローを4人目の外野手として獲得した。マ軍はメジャーで最も優秀な若い野手が揃ったチームなので、ゲームに臨む準備が完璧なイチローを加えれば、格好のお手本になり、大きな効果を生むと判断したのだ。
 イチローの入団は、期待した以上の効果をもたらしたため、マ軍はオフに入ると真っ先にイチローと契約を更新して高く評価していることをアピールした。しかし、ジーター新CEOは、そのようなことはしないだろう。チームを根本から変える気でいるからだ。
 ジーターはファンに不人気でも、中規模の予算で地区優勝できるチームを作るため、大掛かりな選手の入れ替えを断行する構えだ。

★ジーター新CEOが真っ先に手掛ける巨大トレード

 米国のスポーツメディアの多くは、10月にジーターがCEOに就任した後、真っ先に手掛けるのは、主砲ジャンカルロ・スタントンのトレードだと予測している。
 スタントンはメジャーを代表するホームランバッターで、シーズン後半に入ってアーチを量産。8月28日に本塁打を50本の大台に乗せたため、シーズン終了までに62本塁打をマークする可能性が出てきた。実現すれば、筋肉増強剤の力を借りずに打った本塁打のシーズン最多記録となる。
 そんなメジャー最強打者のトレードをジーター新CEOが真っ先にやると見られているのは、旧経営陣が'14年11月にスタントンと交わした総額3億2500万ドル(358億円)の13年契約が、補強予算を圧迫し、球団を生まれ変わらせる上で大きな足かせになっていると考えているからだ。

 スタントンの年俸は'18年が2500万ドル、'19年と'20年が2600万ドル、20年以降は2900万ドルに設定されている。本塁打を量産している年は問題にならないが、故障の多い選手なので、半分しか稼働しない年は莫大な金が無駄になる。そのためジーターは、スタントンの商品価値がピークになった今が、トレードで放出する時期だと考えている。
 マーリンズは3Aに有望な外野手がいないので、スタントンが抜けた穴は、2割8分、15本塁打を期待できるレベルの外野手をFA市場、ないしはトレードで2人獲得する。もしくは右投手に強い左打者と、左投手にめっぽう強い右打者を獲得し、この2人をプラトーンで使うというやり方で、埋めることになるだろう。その場合は、得点力アップにどれだけ貢献できるかという点だけが重視されるため、OPS(出塁率+長打率)が評価基準になる。それが低いイチローを4人目の外野手として残す可能性は低くなる。

 イチローとジーターが、レジェンド選手としてお互いに尊敬し合う関係を築いているのは事実だ。しかし、ジーターはレジェンド選手ではなく、球団のCEOとしてマーリンズに乗り込んでくる。課せられた任務は、私情を捨てて、低迷するチームを地区優勝できるチームに変えることだ。CEO就任早々、スタントン放出に踏み切ると見られているように、効率よく勝てるチームにするためには、ファンに不人気なトレードも断行する構えだ。イチローにだけ、特別な配慮を見せるようなことはしない可能性が高い。

スポーツジャーナリスト・友成那智(ともなり・なち)
今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流。アメリカ野球に造詣が深く、現在は大リーグ関連の記事を各媒体に寄稿。日本人大リーガーにも愛読者が多い「メジャーリーグ選手名鑑2017」(廣済堂出版)が発売中。

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