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森野引退で再燃する中日の落合回帰

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ナゴヤ球場

 ナゴヤドームでの今季最終戦は、一時代を築いた功労者の引退舞台ともなった(9月24日)。39歳のベテラン、森野将彦選手が今シーズン限りでの引退を表明。そのセレモニーを見届けた白井文吾オーナーが報道陣に囲まれ、来季の展望を語った。

 「後進の指導にあたってもらいたいと思っている」

 引退する森野を打撃コーチに起用すると言った。同オーナーは森繁和監督(62)の続投も明言している。チーム関係者によれば、42歳の岩瀬仁紀投手と40歳の荒木雅博選手にも『兼任コーチ』の打診をしているそうだ。優勝、日本一を経験したベテランたちにも一役買ってもらおうというわけだ。森監督の脇を生え抜きの森野、荒木、岩瀬らが固める。地元愛の強い中日ファンにとっては理想的な態勢となるが、ナゴヤドームに熱気が戻るまで相当な時間が掛かりそうだ。

 「今季、生え抜きのコーチは近藤真市、途中から一軍担当となった朝倉健太の両投手コーチだけでした(コンディショニング担当は除く)。名古屋のファンは地元意識が本当に強いので、ここに功労者の森野が加わるのは良いことです。でも…」(地元メディアの一人)

 森野、荒木、岩瀬は「強い時代」を知る生え抜きではあるが、こうも解釈されている。強い時代、つまり、落合博満氏に薫陶を受けた教え子でもあるのだ。

 「監督・落合」は8年間、全てAクラスを確保し、優勝4回、日本一1回を記録した名将だ。しかし、地元ファンとの間に溝が出来始めたのも、「監督・落合」の時代だった。

 「監督時代の落合氏は外様コーチばかりとなり、また、勝つことが最大のファンサービスなる主張もあって、ファンとの接触を拒んできました。勝ちながらファンが離れていくという図式で、応援していた地元企業も離れてしまいました」(前出・同)

 9月15日に発表された今シーズンの12球団別の1試合平均観客動員数だが、中日は前年比4・3%減の2万7663人(主催試合)。セ・リーグでは前年比1・5%増の3万2624人だから、中日経営陣も危機意識は感じているはずだ。今回の森野へのコーチ就任要請は「生え抜き=地元」の発想によるものだが、人気回復はこんな単純な話ではない。

 「森野たちがドラフト下位で指名した無名選手を育てなければなりません。今季はドラフト2位の京田(陽太=23)が活躍し、5位低迷の溜飲を下げてくれましたが、ここに至るまで中日は何人の高校生野手を上位してきてきたことか…。1位指名した高校生がレギュラーに育たず、大学、社会人を経由してきた選手が活躍している。中日の育成システムにも問題があるのでは?」(プロ野球解説者)

 二軍本拠地のナゴヤ球場を見れば、有望な若手も少なくないが、故障したベテランの調整場の様相も否めない。森野は今季、開幕一軍を逃し、7月半ばに一軍昇格したが、すぐに故障。その後の二軍戦でも同じ箇所を故障する不運となったが、ベテランが調整目的で実戦に出れば、その分、若手は出場機会を失う。森野が小笠原道大二軍監督に先に引退の相談をしたのは、こうした弊害を感じていたからだろう。

 森野たちがどんな選手を育てていくのか、チーム再建は長い道のりとなりそうだ。

 森野がナゴヤドームのファンに別れた告げた同日のZOZOマリンで、やはり今季限りでの引退を表明してきた井口資仁のセレモニーも行われた。ロッテファンも熱い声援と拍手を送っていたが、早くも「監督・井口」の誕生を望む声がスタンドから沸き上がっていた。ロッテファンも地元意識が強い。今さらだが、井口はホークスでプロ野球人生をスタートさせた“外様”だ。途中加入でもチームのために尽くしてくれたということが伝われば、生え抜き、外様の線引きはなくなるのではないだろうか。中日のチーム再建にはフロント改革も必要だ。

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