高島屋東別館は'37年に旧松坂屋大阪店として建設された、日本最古の百貨店建造物。アールデコ調の重厚な佇まいは、周辺一帯のシンボルとなっている。しかし、'68年に運営が高島屋に移ってからはデパート営業は行われず、1階の外周部に飲食店、2階部分は高島屋資料館、他は事務所として使用され今後の動向が注目されていたが、リニューアルについては地元の反応も様々だ。
「“インバウンド銀座”の道頓堀や難波がすぐそばということもあって、それを指を咥えて見ているだけでは仕方ないということでは。地域の発展にもプラスになることは間違いないでしょうね」(日本橋でんでんタウンの電器店経営者)
その一方では、こんな声も。
「堺筋では昔からのビルや店がどんどん潰されて、みんな外国人向けの何かに変わっとる。せやけど、高島屋の別館だけは大丈夫と思ってた。何やら本丸を落とされたような気分や」(道頓堀の老舗飲食店店主)
リニューアルの詳細については様々な情報が飛び交っているが、公式な発表はまだない。周辺関係者によれば、運営主体として現在交渉しているのは、シンガポールの不動産大手・キャピタランド社。同社は別館の豪華な空間を活かし「サービスレジデンス」と呼ばれる、中長期滞在者向けの宿泊施設を展開するものと見られている。
「サービスレジデンスは、ホテル仕様のウイークリーマンションということですが、とびっきりの豪華版。ターゲットは当然、外国人観光客で、しかも富裕層」(外資系ホテル関係者)
ゴーサインが出れば、ミナミ・堺筋エリアでは、新今宮に'22年に開業する星野リゾートのOMOホテルと並び、注目を集めることになりそうだ。
「ただし、外国人観光客がリーズナブル志向に変わりつつある中、豪華ホテルの受けがどう転がるかは未知数。問題は、東京五輪後の変化への対応です」(ホテル関係者)
外国人観光客の増加で、ホテルの建設ラッシュが続き、日ごとに街の姿が変わりつつある大阪ミナミ。浪速の灯がまた一つ消えようとしている。