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タレント霊能力者・超能力者の犯罪史

 夏になるとテレビ番組等で心霊特集や、超能力特集などが組まれることが多い。

 そういった番組には、自称霊能力者や自称超能力者が登場してきて、超常現象の解説をするというシーンもよく観られることだ。いわゆる「タレント霊能力者」「タレント超能力者」という人たちだが、このテレビに出てきて人気者になる自称霊能力者、自称超能力者の中には、人気者になったのちに何らかの罪を犯してしまう人がいること忘れてはいけない。
 もちろん、実際に犯罪者になる人はほんの一部なのだが、中には道を外してしまう人もいると言うことで、タレント超能力者・霊能力者を鵜呑みにしてはいけない。
 ちょっとタレント霊能力者・超能力者犯罪の歴史を振り返ってみよう。

 日本に超能力ブームが起こったのは70年代前半にスプーン曲げで一世を風靡したユリ・ゲラーの登場からである。
 ユリ・ゲラーは有名になる以前から「超能力トリック」を行っておりナイトクラブでテレパシーの手品を行っていたが、あまりに下手なのでナイトクラブから訴えられたり、映画女優のソフィア・ローレンとの“合成写真”を公表してばれたりした問題児でもあった。しかしスプーン曲げで成功したユリ・ゲラーは世界中で注目を集めたためユリを「本物の超能力者」と信じた人も多くいたのは事実である。
 そんなユリ・ゲラーに対して、多くの手品師が種明かしをしたり、批判をしたりしたが、それに怒ったのかユリ・ゲラーは超能力や霊能力を批判する団体「サイコップ」に訴訟を起こすが、逆に和解金12万ドルを「サイコップ」に支払っている。

 そんなユリ・ゲラーに影響された人たちに、70年代に日本でもスプーン曲げができると称する超能力少年少女たちが大勢あらわれた。
 その中の代表格として、清田益章氏がいるが彼は成人後44歳のときに、大麻取締法違反で逮捕されている。
 また、同時代にマスコミから持てはやされた超能力少年に関口淳氏がいるが、彼はトリックがテレビや週刊誌に暴かれてしまいメディアから去った。そして成人後にやはり大麻事件で逮捕。

 タレントではないが、自称超能力者、霊能力者でもっとも重大な犯罪者となってしまったのは、オウム事件の麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚であろう。
 麻原は、オウム真理教の教祖になる以前に傷害事件を起こしたり、薬局経営をしていた時代に保険料の不正請求をして返還を求められたり、ニセ薬を販売して逮捕されている。
 その後、オウム真理教という新興宗教を創設し、テロ事件を起こすのであるが、オウム真理教の売りは「修行をすれば超能力や霊能力が身につく」というものであった。その言葉を信じた若者たちが、やがて殺人や地下鉄サリン事件などを起こすことになる。

 霊能者を自称していた織田無道氏は、宗教法人の虚偽登記容疑で逮捕され懲役2年6カ月、執行猶予4年の有罪判決を受けている。
 同じく、霊能者としてテレビで注目を集めた下ヨシ子氏もまた、「浄霊代」名目で多額の現金をだまし取られたとして訴えられている。

 かくのごとくテレビやメディアで活躍する自称超能力者や霊能力者には、トラブルを起こしてしまう人が多い。
 そもそも超能力や心霊といったものは、トリックや詐欺といったものとなかなか縁が切れない。テレビなどでよく話題になるものとして「心霊写真」があるが、霊能力者が写真を見て、いきなり【鑑定】なるものをしたりするが、心霊写真鑑定というものは90年代から行われるようになったもので、自称霊能者がいきなり一枚の写真を見て「これは悪い霊に祟られています。この霊は●●で…」などと断言したりする。生きている人の写真を観ても、知らない人の写真だとそう断言はしないのだが…。

 問題は自称超能力者や霊能力者だけにあるのはあるまい。そういった人たちを安易に採用するメディア側にも責任があるのではないだろうか?
 いくらバラエティ番組といえど、そのために詐欺まがいの被害者が出ているとしたら、採用する側にも注意をしてもらいたいものだ。

巨椋修(おぐらおさむ)(山口敏太郎事務所)

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