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2009年、小向をめぐる報道合戦 その点描

 身長180cm超、アルマーニのジャケットを着た男が東京地裁のとある法廷の小窓を何度も覗いている。携帯電話を掛けながら、へらへらと談笑。メガネをかけた神経質そうな顔に似合わず、極めてノリは軽い。

 門の外では、長髪、武田鉄也のマネの三又似の週刊誌記者が、長州力のように苦みばしった顔で行ったり来たり…。

 前者が50代前半、後の記者が30代前半、といったところだろうか、両者ともオーラがある。部下がムダにキレイだから、男ぶりも上がるというのもあるかもしれないが。

 裏門の駐車場では、若い集団が我が物顔でダベりながら張っている。一見頭が悪そうに見えたが、四大紙の新聞記者だった。
 外には、もちろんテレビクルーもたくさんいる。太って脂ぎったテレビディレクターが、我が物顔にカメラマンのイケメン君を、こきつかっている。

 夕刊紙の記者氏と話しているうち、ふと、わが意を得たり、という表情に変わる氏…会見を待たずにあっという間に社にご帰還だ。(夕刻、その内容は、周辺取材とともに早速記事になっていた)

 彼らの狙っているターゲットは、小向美奈子。

 閉廷後まもなく、黒いスーツ姿で正門前に登場した。報道陣がもみ合い、テレビクルーから怒号が飛ぶ。

 涙を流しながら、報道陣の質問に淡々と答える小向。面影こそあまり残っていないが、やっぱりべらぼうにキレイ。(笑)
 2000年のデビューの彼女は、アイドルらしいオーラのあるアイドルばかりがデビューしていた最後の世代のひとり、といったところなのだろう。

 後日。出てきた記事の中に、
 『小向 巨乳は健在だった!』
 というものが。
 ひょっとして、最初のノリの軽いアルマーニオジサンか? なるほど、一流の人間は、目のつけどころが違う! 傍聴券が外れて外からは声も聞こえないのに、小窓をそのために覗いていたなんて…妄想は広がる。

 ただし実際、シリアスな現場にいて平気でこれだけハズした発想をするのは、容易なことではない。常人はどうしてもその雰囲気に飲まれて、深刻だけど詰まらない記事や、取材対象に同情的な記事を書いてしまうからである。
 一流の記者にしかこんなおもろい記事は書けない(三文ライターにはなかなか真似出来ず。)、というのも現実だ。

 というわけで、よくある現場の光景、はこんなところ。マス○ミは嫌いな人種だ、という皆さん、食欲のなくなるようなこと書いてごめんなさい。

写真=2009年、ボディーガード役の関係者に抱きかかえられて劇場入りする小向美奈子。

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