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実話怪談『公衆電話』

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画像はイメージです。

 今では携帯が発達し、町で公衆電話を見つける事も困難になっている。だが、かつては町のあちこちに電話ボックスが設置されていたものである。

 Yさんがまだ学生だった頃の話である。学校帰りに、ちょうどいい電話ボックスがあった。ちょうどお寺の門の横にあり、大通りから見つけづらい上、寺の茂みで程良い日陰になっているのだ。

 「あそこはいいよね。利用者が少ないし、気兼ねなく長電話ができるし…」

 「それに先生にだってみつからない」

 Yさんたち女子高生にとって好都合の電話ボックスであったのだ。勿論、電話相手は彼氏や男友達である。大した内容ではないものの、男子との電話は新鮮で楽しいものであった。

 Yさんと友人達は度々、学校帰りにその電話ボックスを利用した。ある時、彼女たちは電話ボックスで奇妙なモノを見つけた。

 「なっ何?これって、人間の爪?」

 電話ボックスの透明な壁面に、白い人間の爪らしきものが貼り付いている。しかも、よく見るとそれは数枚ある。そして中には血のように赤く染まったものもあった。

 「いや〜っ、気持ち悪いよ。なにこれ…」

 「本当だ、これって人間の爪じゃない?」

 Yさんたちは、電話をかける気も起こらず、電話ボックス周辺を日頃から掃除しているお寺の事務所に通報した。

 「ええ!!人間の爪だって、おかしいなちゃんと清掃したと聞いていたのに…」

 お寺の事務所の人は首をかしげると、こう続けた。

 「うちの参拝者も使うから…、ちゃんと後を残さないようにしてくれって言ったのに!」

 坊主頭のその人は、ぶつぶつ言いながら、雑巾で電話ボックスを掃除したという。(ええ…この電話ボックスで何かあったの?)

 Yさんは拭いきれない違和感を感じていた。

 だが、その日以来その電話ボックスは使えなくなった。電話機が故障したとか、そういう具体的な原因があるわけではない。何故か、電話が不通なのである。何度ダイヤルをまわしても、通じないのだ。

 「あの電話ボックス、使えないよ」

 Yさんと友人たちはそう言って違う電話ボックスを利用するようになった。

 だが、どうしても納得できないYさんは、ある日親戚の紹介で知り合った霊能者の女性に電話ボックスを見てもらった。

 「あの電話ボックスなんです」

 Yさんが、指さす電話ボックスを一目見ると、霊能者の女性はガタガタと震えだした。

 「あっ、あの電話ボックス。絶対に使用しちゃ駄目よ」

 「なんでですか、いったい何があるんですか?」

 「だってあの電話ボックスで、何度も何度も血だらけの女が電話をかけ続けているの…。泣きながら、わめきながら、壁で生爪をはがしながら電話している」

 この霊視結果を聞いたYさんは、その電話ボックスの前すら通らないように決心した。

 後にお寺の関係者に親しい人がいる友人の話によると、ある男に片思いをした女が何度もあの電話ボックスから男に電話をしていたらしい。だが男はその女に興味が無く、最後は居留守を使って電話にすら出なくなったという。

 その女は悲しみのあまり、生爪をはがす程、ダイヤルを廻し続け、最後は電話ボックスで自殺したというのだ。

 「その人は 死んだあとも電話をかけ続けているのでしょうね」

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