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デジタル化する故人達

 故人との向き合い方も、デジタルに進化し続けている。

 数年前から、お墓に中継カメラを設置するお寺があらわれた。自宅のパソコンからお墓参りをすることができる仕組みだ。ネット参拝なる、お墓自体をweb上に仮設するサービスも存在し始めた。
 多くが、サービスを提供するサイトにアクセスし、そこで供物やお線香を選択、自身のパソコン画面で故人と対面するシステムになっている。このお墓はオープンにすることも、家族のみの公開にすることも出来るサイトが多く、故人の動画やメッセージが公開されているサイトもある。
 これは「お墓というアカウント」を作る感覚に近い。ネット上に残されたライフログだけでも「お墓」に成り得るという、新時代の提案かと思われた。

 しかし実際は、目新しさだけで利用者は広がらなかった。利用者は、サービスを提供するサイトとは別に、遺骨を納めなければならない。記者は数年振りにいくつかのネット仏壇サービスを回ったが、どうしてもグラフィックや機能が古い感が否めなかった。サービスのシステムを更新し続けなければいけないことは、企業にとっても負担なのだろう。
 最先端が日々更新されるwebの世界、若者には目新しさがなく、高齢者には使いづらい、どっちつかずなことが、定着しなかった理由の1つかもしれない。

 株式会社デザイン計画は「お墓」ではなく、「仏壇」や「位牌」をデジタル化した。(写真)
 7インチのモニターには、位牌や遺影、故人を偲ぶ写真やテロップだけでなく、日ごとに著名人の名言も表示される。更に、wifi機能でお寺からの連絡メールも届く。SDカードに画面の設定を保存するので、生前から自分が死んだ時どのようにして欲しいか、遺言のようにタイムカプセルとして残すことも出来るのだという。
http://www.youtube.com/watch?v=kQwheIi38bo&feature=player_embedded
ペット仏壇は2011年1月から、デジタル仏壇は2,3月から販売される。

 「仏壇を介すことに、意味がある情報もあると思うのです」株式会社デザイン計画社長の斎藤氏によれば、既に通信会社とのコラボも決まっており、今後仏壇は双方向になる可能性もあるという。「携帯、電子書籍端末、インターネットテレビでも仏壇を利用出来る様になるかもしれません」

 故人を思う気持ちや祈りは、それがデジタルであろうと石であろうと変わりない。現代技術が提案する新しい「故人との向き合い方」は、今後私達の死生観を大きく変える可能性もある。マイミクやフォロワーの参拝をする日も近いかも知れない。あの世の仮想現実も広がっている。

(幻想戦隊レモネード隊長檸檬)

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