3万8000平米の『グランフロント大阪』敷地内には、高層ビル4棟が立ち並び、主に商業・オフィス・分譲住宅施設で構成されている。その中でも最大の懸念とされているのが、オフィス入居率の伸び悩みだ。
「5月初めの時点で、入居率は全体のわずか2割。夜になれば状態は一目瞭然で、煌々と明かりが灯るビル下層部の商業施設に対し、上層のオフィス部分はほぼ真っ暗。原因は、何といっても西日本でもトップクラスの家賃です。大阪・梅田駅前の立地条件を考えれば仕方ない面もありますが、それでも1平米あたり800万円台は敷居が高すぎますよ」(社会部記者)
開業直後とはいえ、この状況に施設関係者も、
「すでに値を下げるべきだという声もありますが、地価の関係から簡単には動かせない。景気の動向と今後の入居率を見ながら、課題を考えていきたいと思っています」
と少々戸惑い気味だ。
さらに、一見賑わっている商業施設にも気になる点がある。
「テナントの多くが“関西初”や“ここだけ”を謳い、売りの一つにもなっているのですが、その大半が高級店で占められている。大阪の客は大衆店指向が強いですからね。象徴的な例に、2年前にできたJR大阪駅内の『三越伊勢丹』は大苦戦している。同じ轍を踏まなければいいのですが」(全国紙経済記者)
橋下徹大阪市長も、「国家プロジェクト」と入れ込む「うめきた」再開発。同じような高層ビルが軒を連ねる姿が“未来都市”に例えられる一方で、地元商店街からは「墓地」「原子炉建屋」との呼び声も聞こえてくる。吉か凶、どちらに出るか今後に注目だ。