「ホンダはアメリカを中心に海外生産を推し進め、今や全体の8割以上にもなります。実際、ホンダの経営動向は海外市場に左右される状態が年々強くなっており、日本市場のウエイトが低下しているのは否めません」(経済記者)
かつてのホンダと言えば、1980年代から'90年代前半のF1ブームをエンジンサプライヤーとしてけん引。その名を世界中にとどろかせた。しかし、次第に日本市場の縮小が見えてくると、ホンダは一気に背を向ける。その象徴とも言える出来事が、'10年の『シビック』国内販売終了だ。
当時の思いを長年のホンダマニアはこう語る。
「'90年代後半以降、車種のレパートリーがミニバンだらけになったり、日本仕様のデザインだけが格好悪かったり、いろんな部分でホンダ車に対してたまっていた不満が、『シビック』国内販売終了という報道で一気に爆発した感じ。『シビック』はホンダを大きくした立役者なのに日本人は乗せないというのだから、日本市場を捨てたと宣言したようなもの」
そんなホンダは今、八郷隆弘社長が先頭になって「ホンダらしさ」を取り戻そうと必死だ。昨年は『NSX』の新型を、この夏にはついに『シビック』の新型を発売する。かつて“伝説のデートカー”として一世を風靡した『プレリュード』復活も囁かれている。
ホンダの海外市場に依存する体制は今後も変わらないが、地元の日本市場の重要性に今さらながら気付いたのかもしれない。
国内をないがしろにしたシッペ返しを受けつつも、どこまで“ブランド”を復活させられるか。