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東京五輪にドリームチームはやってくるのか?(後編)

 2016年のプロ野球ペナントレースは「新たに導入されたコリジョンルールがどう影響するか」が注目を集めていた。このルール導入に批判的なプロ野球解説者の言葉を借りると、「悪質、かつ故意に走者が相手捕手にぶつかっていくプレーだけを注意すればいい」とのこと。捕手が走者のスライディングに対し、ブロックできなくなるため、余計な失点が増え、投手成績も落ちるのではないかと懸念していた。
 善し悪しが決まるのは、シーズン終了後になるのかもしれない。しかし、別の見方もされている。
 「アメリカ(メジャーリーグ)ですでに導入されている以上、日本が違うルールで公式戦を続けるのは…」(球界関係者)
 2015年、メジャーリーグで正式採用され(禁止事項になったのは14年)、NPBも今年からそれに従った。WBCなど、今後さらに盛んになる国際試合に向け、ルールの解釈を統一しておきたいとの思いもあったのだろう。

 「MLB(大リーグ機構)とNPB(日本プロ野球機構)が目指す共通事項があります。それは試合時間の短縮です」(前出・同)
 大リーグ機構が試合時間の短縮を目指す理由はシンプルで分かりやすい。莫大な放映権料を生むテレビ局との“お付き合い”である。全米4大ネットワークのテレビ局もそうだが、スポーツ専門のケーブルテレビ局との大型契約がメジャーリーグを支えていると言っても過言ではない。スポーツ専門のケーブルテレビ局・ESPNは2021年までの8年間で、MLBと56億ドル(約6160億円)の契約を結んでいる。それだけの大型契約を結んでいるとなれば、発言力も出てくる。「試合時間をコンパクトに」と働きかけているという。
 また、日本の場合は目的が少し異なる。地上波でのプロ野球中継回数が激減して久しい。野球は試合時間が読めない。野球中継は試合終了まで放送できないリスクを常にともなう。それは分かっているが、NPBが「時間短縮」を12球団に強く訴えている理由は、東京オリンピックの追加種目になるかもしれないからだ。
 オリンピック大会の最大の収支はテレビ放映料である。その中継するテレビ局側が「試合時間が読めないので野球の中継はたいへん」とこぼしており、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)のリカルド・フラッカリ会長は追い詰められていた。これはソフトボールと“共闘”する前からの懸念事項であり、だから、2008年北京五輪大会の直前にタイブレーク制が導入され、東京五輪の追加種目当選を目指す議論の場で「7イニング制」などの“ギョーテン策”が提案されるのだ。

 「試合時間が長引けば、遠方から観に来てくださったファンが帰れなくなるかもしれない。終電車の時間帯があるからと言って、試合途中で帰るお客さん、『子どもが起きている時間ではなくなった』と言って帰る家族連れ…。ファンサービスの目的もあって、試合時間の短縮を目指しています」(プロ野球解説者)
 ファンサービス、東京五輪の追加種目当選。NPBが時間短縮を掲げる理由は間違っていないが、辿り着くところはテレビ中継だ。新国立競技場の設計、エンブレムのデザインで必ず出たフレーズは「日本らしさ」。日本には長く野球を愛してきた歴史と文化がある。
 「メジャーリーグがオールスター戦級のドリームチームを結成すると言ってくれれば、東京五輪の追加種目は野球・ソフトボールで決まるはずなんですが…」(前出・関係者)

 国際オリンピック委員会(IOC)はリオデジャネイロ五輪直前の7月に総会を開き、東京五輪の追加競技を決定する。主催国・日本の思いが届くことを祈りたい。

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