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9割の窯が倒壊…立ち上がれ、益子!

 東日本巨大地震は、陶芸の街にも甚大な被害をもたらした。
 栃木県の益子では9割の窯が倒壊。町が把握しているだけでも被害総額は7億8千万円に上る。個人の作家の被害も入れると、もっと大きな額になる可能性もある。完全な状態で残った薪窯は数基しか確認されていない。

 益子焼は「登り窯」という斜面等地形を利用した薪窯を主に使用する。地面に直接土で築くため、被害を受けやすかった。ガス窯や灯油窯なども、煙突や棚の倒壊など被害は大きい。益子の登り窯をつくる職人は僅か2人しかいない。全部作り直すのには数年かかるとの見通しだ。

 写真の瓦礫の山は、震災の為に設置された臨時ゴミ捨て場の様子だ。被害を受けた窯から、次々と破損した陶器が運ばれてきた。中には有名作家の作品も見られるという。
 「個人のものなので、どこまで権利を共有し合うか問題はあります。ですが、これを再利用出来ないか動き始めています」
 今まで益子では、割れた陶器は全て不燃ゴミか庭に埋めるなどの処理だった。膨大な陶器の欠片を前に、タイル、小道をつくるなど、アイデアは次々と広がっている。益子で制作をする若手陶芸家達は、益子町被災状況をまとめるfacebookのページや益子を再生するための「Rebuild-Mashiko」を立ち上げた。

東北関東大震災 益子町被災状況レポ
http://www.facebook.com/Rebuild.Mashiko
Rebuild-Mashiko
http://rebuild.exblog.jp/

 「みんなへこたれてないですよ。窯ごとに焚き方などにこだわりがありますから、今まで一人一台が当たり前でしたが、窯のシェアも考えています。自分に出来ることから始めないと」
 陶芸家・田村一氏は、都内の茶会で益子の被害状況報告を行う。

 1966年から始まった益子の陶器市も、今年は開催が危ぶまれた。しかし「災害復興がんばろう」というテーマを掲げ、期間を短縮し開催される。
 「益子から元気を出そう! 届けよう! ということで、今年はお客様が楽しめるようなテナントブースを考えています」

 都内でも、益子を始めとした陶芸の町や作家を支える支援の動きが始まっている。
 若手陶芸作家を中心に扱う銀座のギャラリーPetitluxeでは、震災で被害を受けた益子、笠間、茂木の作家達を支援する展示を急遽開催する。
 「自分達にできることはなにか? 自分の仕事をするしかありません。陶芸家や彫金作家の作品を少しでも売って、作家を応援したい」
 東京に住むギャラリーオーナー江口範幸氏も、震災で多くの器との別れがあったという。
 「しばらく茫然とするほど、大きな喪失感を味わいました。でも器達との思い出は残ります。新しい器達との出会いを提供できれば」

 作家だけではない、多くの陶芸を愛する人々が一歩一歩動き始めている。

『春の益子陶器市』
日時 4月29日〜5月5日 9時〜17時
場所 益子町内各所(城内坂、サヤド地区中心)
http://www.mashiko-kankou.org/mta1/mashikoyaki/toukiiti/tokiichi.htm

『日本文化を語る会』(主催:アバンギャルド茶会)益子や笠間などの被害状況をテーマに語る
日時 4月15日 19時〜22時
場所 東京・四谷荒木町「橘家」 東京都新宿区荒木町11 橘家ビル
http://www.ava-cha.com/2011/04/07/1708

『Emergence From emergency』
日時 4月15日〜24日 11時〜20時(会期中閉会の時間に変更あり)
場所 東京・銀座「Petitluxe」 東京都中央区銀座3-14-2 白鳥ビル1階
http://www.petit-luxe.jp/index.html

(隊長檸檬 山口敏太郎事務所)

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