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“義理堅さ”だけではない 黒田が広島復帰を決断した裏事情

 こんなに、義理堅いプロ野球選手が他にいるだろうか?

 ヤンキースからFAとなっていた黒田博樹投手(39)が、古巣・広島東洋カープへの8年ぶりの復帰を決め、同球団が12月27日に発表した。年俸は貧乏球団の広島としては、破格の4億円プラス出来高。

 同28日、黒田は所属事務所を通じ、「悩み抜いた末、野球人生の最後の決断として、プロ野球人生をスタートさせたカープで、もう一度プレーさせていただくことを決めた。今後も、日々新たなチャレンジをしていきたいと思う」とのコメントを出した。

 黒田は今季、32試合に登板、投球回は199回で4年連続200回到達こそならなかったが、11勝(9敗)をマークし、日本人投手初となるメジャーでの5年連続2ケタ勝利を挙げた。

 メジャー7年間で79勝(79敗)をマークしている黒田の最大の特徴は、タフでローテーションをキッチリ守れる点。渡米後、右肩を痛めた09年を除き、他のすべての年で30試合以上に先発。勝ち星もさることながら、投球回は3度の200回到達を含め、6度180回以上を投げているタフネスぶりだ。

 今季、田中将大投手(ヤンキース)やダルビッシュ有投手(レンジャーズ)は右ヒジの故障で戦線離脱したが、メジャーの中4日で、シーズンを通してローテーションを守るのは並大抵のことではない。それができる黒田は、メジャーで最大限に評価されているのだ。

 黒田の今季年俸は1600万ドル(現在のレートで約19億2600万円)だが、再契約を希望するヤンキースを始め、古巣のドジャース、パドレスなどが触手を伸ばし、1800万ドル(約21億6700万円)のオファーを出した球団もあるという。

 広島での出来高の詳細は不明だが、メジャーに残った場合と、広島での年俸格差は実に約17億円。今季の19億円から来季は4億円となると、15億円の減収となり、税金の支払いも、さぞや大変だと思われる。

 それでは、大減俸となるのを承知で、なぜ黒田は広島復帰を決断したのか? 07年オフ、メジャー移籍を決めた黒田は、広島球団と「日本に戻るなら、このチームしかない」と約束している。事実、この数年、広島は毎オフ、黒田と極秘裏に交渉してきた。これまでは、首をタテに振らなかった黒田が、メジャーからの20億円超のオファーを蹴って、広島復帰に至ったのは、義理堅さだけではないようだ。

 某スポーツ紙のメジャー担当記者のA氏は、「黒田が日本に帰りたいと思うタイミングと、広島の監督交代のタイミングが合致したことが大きな要因でしょう。黒田は野村謙二郎前監督とは、ソリが合わないといわれています。来季も野村監督残留なら、黒田復帰はなかったと思われます。裏を返せば、黒田を迎え入れる態勢を整えるため、野村監督を退任させたとも言えます。緒方孝市新監督誕生なら、黒田も拒む理由はありません」と語る。

 今季、リーグ3位に終わったが、前半戦では首位も走った広島。近い将来のメジャー挑戦を夢見るエース・マエケン(前田健太投手)は年俸3億円で残留。そして、黒田が帰ってくる。強力な先発投手陣となった広島は来季、24年ぶりのリーグ制覇を目指す。

※年俸は推定
(落合一郎)

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