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国政進出 “軍資金”は火の車 橋下維新が「カネ、カネ、カネ」(1)

 9月12日、橋下徹代表率いる『日本維新の会』がついに立ち上がった。大阪市内のホテルで開かれた立党パーティーは、出席者が主催者発表で実に4000人。会場には入場制限が出され、周囲の道路はホテルに向かう車で交通停滞に陥るという盛況ぶりだった。
 しかし、この日の会費は1人2万円。最近の政治家のパーティー券は、不景気もあり1万5000円がほぼ平均的。いくら人気者を代表に戴くとはいえ、いかにも強気な値段だ。

 もっとも、今の維新の会には強気にならざるを得ない事情がある。それはズバリ、寂しすぎる懐具合だ。
 「今の維新の会には、とにかくカネがない。そんな状態で国政に行こうというのですから、とにかくすべてが“カネ、カネ、カネ”となるわけです」(維新の会の事情に詳しい保守系の元大阪市議)

 今や飛ぶ鳥を落とす勢いの維新の会が資金力に乏しいというのは、どういうことなのか。元市議が続ける。
 「自ら掲げた企業・団体献金の禁止という理想が、早くも限界に来たということです。地域政党のレベルでは事足りたのですが、国政へ打って出るとなれば、地方の選挙とは比較にならない資金と組織が必要になる。維新の会はその辺りがすべてこれからなんですよ。加えて橋下さんは、カリスマ性はあっても政治力はそれほどでもない。だから人は集まってもカネは集まらない。維新の会から組織についてアドバイスを求められた中田宏・前横浜市長が、一般地方議員の橋下人気への依存度の高さに呆れ果て、地方組織と資金確保体制の重要性を激高せんばかりに説教した話もあるほどです」

 今の維新の会の収入は主に、パーティー収入、個人経営者からなる「経済人・維新の会」の寄付、「志士」と呼ばれる会員からの個人献金、議員個人の後援会収入からなる。
 団体、企業からの献金は受け取らない方針を取っているため、どうしても個人レベルの献金、集金に頼らざるを得ない。
 「一般に、政党がすべての選挙区に候補者を擁立させる場合、最低でも約70億円の資金が必要と言われています。それに対し大阪維新の会と『橋下徹後援会』の収入は、2010年分の政治資金収支報告書によれば、併せて1億1231万円。これでは、その後の維新の躍進で全体の資金力が仮に十倍にアップしたとしても、70億には遙かに及ばない。しかも選挙は“近い将来”ですからね。このままでは軍資金が枯渇し、火の車になるのが目に見えているわけです」(全国紙政治部記者)

 そこで維新の会は、選挙が“個人責任”であることを改めて確認する形をとり、その矛先を立候補予定者に向け、先の立党パーティー後の会見では、橋下代表、松井一郎幹事長が「党としての選挙支援はやらない。おカネがないなら借りてでもやるという気持ちでやるべきだ」と言い切った。
 さらに、発表したばかりの「維新八策」にある「企業、団体献金の禁止」に関しても、「政党交付金は政党要件を満たしてもすぐには受けられない。隙間の部分はお金を手だてする現実的な必要性がある。政党交付金を受けられない状況で企業、団体献金を一切禁止するのは議論させてほしい」と、早くも方針転換の構えなのだ。

 既成政党にはできない、新しい政治改革を追求するはずが、ここへきて現実路線に急旋回。国政進出が決まった以上、背に腹は代えられないところだろうが、あまりに露骨な手法には批判の声が集中している。
 「カネの問題に関しては、建前でもいいから綺麗事を言ってほしかった。それがたとえ現実であるにせよ、あんなストレートな風に言われたらガッカリしますよ」(維新の会支持者)

 カネ、カネ、カネの露骨な現実論が幅を効かしているのは、維新の会が主宰する『維新塾』でも同様だ。選考を二次で落とされたという、ある会社員はこう愚痴る。
 「いきなり『選挙資金として500万円を自前で用意できるか』ですからね。それでも選挙に向けて視界が開ければいいんですが、議員の候補者は別にいる。松下政経塾みたいに面倒見てくれとはいいませんけど、これでは僕らは単なる資金源じゃないですか? 今は採用されなくてよかったと思っているぐらいです」

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