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松本都去りて、ハル・ミヤコ来たる 2010.10.03 “革命道化王子”KEITA in THE House*自主興行『阿佐ヶ谷ビー・プロレス』

 10月3日、午前4時に差しかかろうとした時の事。格闘探偵団バトラーツの矢野啓太が行った二度目の自主興行である『阿佐ヶ谷ビー・プロレス』も全試合が終了し、締めの言葉を告げた矢野。音響効果の会場敏が終わりの言葉を告げる。−−矢野啓太なら、何をやっても許されるのか−−。

 「Just a moment! 許される訳がないじゃない!」突如女性の声が響く。そこに現れたのはIWAジャパンでUMA軍を率いるハル・ミヤコ女史であった。ミヤコは矢野に向かって叫ぶ。「KEITA in THE House*、YOUがやりたかったプロフェッショナル・レスリングはこれなの? 我々UMA軍の試合を見に来なさい!」言葉が終わると同時に後輩である竹嶋健史がスピアーを放つ。館内からの「やめておけよ」の声を無視して、竹嶋は矢野を攻撃。反撃の体勢に入った矢野は啓ちゃんボンバーを放とうとしてダッシュ…次の瞬間、観客席にいた「お客さん」であるはずのばってん多摩川が突っ込んで来る矢野に対してハイキックをぶち込んだのだ! ばってんは矢野が保持する『ワラビーTVチャンピオン』のベルトへの挑戦を表明。竹嶋と一緒に市ケ谷に帰っていった。

 「今日はこんくらいで勘弁してやるわ」倒れる矢野が最後に言った。矢野は自分の行動を許せないと表現した竹嶋・ばってんの行動を嬉しく感じているようであった。そして、ハル・ミヤコの出現。矢野啓太は今後何処へ向かうのか。

 当初、会場で解説を行うはずであったアイスリボンの松本都。ところが発表された直後にキャンセルが言い渡される。矢野啓太に理由を尋ねると「独裁者の仕業」−−どうやら、さくらえみがキャンセルを言い渡したらしい。

 真夜中に行われた矢野啓太自主興行第2弾『阿佐ヶ谷ビー・プロレス』。以前会場となった阿佐ヶ谷ロフトAでは『阿佐ヶ谷プロレス』が開催されていた。リングは無く、ライブハウスに敷かれた4メートル四方のマット上で出場選手は戦いを繰り広げる。観客が至近距離でプロレスの醍醐味を見る事が出来る空間。更に飲食自由という事もあり、リラックスした状態で観戦ができるのも大きな特徴だ。かつて矢野もこの『阿佐ヶ谷プロレス』に参戦している経緯もあり、今回の大会をここで開催する運びになったのであろうか。
 開始前には当日出場予定であったバトラーツの澤宗紀が欠場の挨拶を務める。松崎和彦との対戦を楽しみにしていたファンも多かったであろうが、万全なコンディションではない澤は欠場を決意。治るまでにはそう時間はかからないとの事であるので、早く元気な姿を見たいものである。
 真夜中0時30分試合開始と謳われていたが、とある選手の入場テーマ曲の到着が遅れてしまった為(主催者側発表)、確か開始されたのは午前1時頃だったはずである。全選手入場式の際には竹嶋健史を引き連れ、「真夜中のライオン」を歌いながらロフトA店長が最後に入場する。店長の入場も恒例となっているらしく、矢野はこの伝統を引き継いだのだろうか。長い、長い、長い店長の挨拶に選手は全員座り込む。眠くなってきたヤス・ウラノに至ってはマットを丸めて枕代わりにし、ごろんと横になってしまう。あまりにも自由な空間が繰り広げられる。

 当日の試合は全て欧州キャッチルールで行われた。これも矢野のはからいである。通常のプロレスの試合から打撃を排除し、更にペースの掴みにくいラウンド制を取り入れた際、どう対応するのか? 第1試合では主催者の矢野啓太とウィリアム・餃子マンが対戦。矢野は自分の術中に餃子マンを誘おうとする。ところが餃子マンは百戦錬磨のつわものであり、チェ・餃子マンとして出現してからは自らのフォール負けは一度も無い「無敗を誇るレスラー」だったのだ。
 セコンドにはガッツワールドのガッツ石島がぴたりと寄り添い、インターバルではアドバイスを与える。2ラウンド、スライディングレッグシザースからのデスロックをしなやかなブリッジで脱出する矢野に館内からは感嘆のため息が漏れる。矢野はお返しのスリーパーでぐいぐい締め上げれば、餃子マンも首四の字でお返し。この状態でゴング。攻守が目まぐるしく入れ替わる3分間の攻防に館内は興奮する。3ラウンド、勝負を仕掛けた矢野。エルボースマッシュをかち上げ、ネックツイストで餃子マンの首を捻り、ヨーロピアンヘッドロックから卍固め。更に回転エビ固めからゆりかもめ、ギブアップしないと見るやすかさず回転十字固めでフォールを狙う。流れるような連続攻撃、チェーンレスリングの極意を見せ付けたが、餃子マンは脅威の反応能力で返していく。
 4ラウンドに入ると餃子マンが逆襲。河津落としからのグラウンド卍固めで矢野を絞り上げ、最後は初公開となるドクターボム一発で矢野からピンフォール勝ち。「ウィリアムス」のリングネームはここから来ていたのかと納得する。

 第1試合終了後にはワラビープロレスアワード2010の発表があり、ビッグネームが並ぶ中ワラビー最高顧問の小笠原和彦から告げられた名前は矢野啓太! 矢野はアワードMVPの栄冠とワラビーTVチャンピオン初代王座に輝く。「23歳の昼飯までにベルトを巻く」と公言していた事が現実になったのだ。(アワードの発表後、小笠原は何故かガッツ石島とばってん多摩川を急襲。ばってんは腕を負傷してしまう)

 第2試合、澤宗紀の負傷欠場により急遽参戦したカンフー・チャン・リー。師匠・剛竜馬さんの入場テーマ「アイ・オブ・ザ・タイガー」に乗って入場する松崎和彦との対戦となる。リーのラフ&打撃に苦戦する場面も見られた松崎であったが、ブルドッキング・ヘッドロックやジャンピング・ネックブリーカーが出ると一気にたたみかける。館内のボルテージも上がった次の瞬間、首固めからの逆さ押さえ込みでカンフーの猛者をマットに沈めた。

 実質的のメインイベントとなったヤス・ウラノ対小仲=ペールワンは観客の度肝を抜いた。見事にキャッチルールが成立し、両者の攻防は見るもの全てを虜にするような鮮やかな流れ。当日会場に来ていた観客だけがこの試合を見ていた事が悔やまれる程素晴らしい対戦であった。この試合のみ1ラウンド5分のラウンド制だったのだが、3分1ラウンド以上にスリリングな展開が繰り広げられる。ロープやコーナーのない4メートル四方のマットの上を跳ね回ったペールワン、そしてじっくりとしたレスリングで対抗し、ツームストン・パイルドライバー一発でペールワンを沈めたウラノ。
 試合は3試合と少なかったのだが、それぞれじっくりとした展開が見られた。観客も試合には満足していただろう。

 本部席で軽妙なトークを行っていた実況担当の佐野直、そしてSTYLE-Eの弥部芳郎、ゲスト解説として招かれた女優金澤ゆかりのかみ合わない会話もこの大会のスパイス。欠場した澤宗紀も会場の空気を暖めるトーク。更に観客のはずであるばってん多摩川によるインターミッション中のネタ(パトリオット体操等)も楽しめるという空間が阿佐ヶ谷ロフトAで展開された。今後伝説といえば伝説になるであろうこの大会は、午前4時30分頃幕を閉じることになった。

 矢野啓太が見せたかった空間とは一体何だったのか? 全ては今後また開催されるであろう「ワラビー」を見て答えを知るしかない。“革命道化王子”KEITA in THE House*の革命は、尚進化を続けていく。本当に、「矢野啓太なら、何をしても許される」のであろうか…?

Office S.A.D. 征木大智(まさき・だいち)

◆矢野啓太自主興行『阿佐ヶ谷ビー・プロレス』
2010年10月3日(日) 東京『阿佐ヶ谷ロフトA』(観衆60人くらいかな?)

<第1試合 欧州キャッチルール3分10ラウンド>
○ウィリアム・餃子マン(4R 1分12秒 エビ固め)●矢野啓太 ※ドクターボム

<第2試合 欧州キャッチルール3分15ラウンド>
○松崎和彦(3R 1分02秒逆さ抑え込み)●カンフー・チャン・リー

<第3試合 欧州キャッチルール5分12ラウンド>
○ヤス・ウラノ(5R 2分09秒 体固め)●小仲=ペールワン ※ツームストン・パイルドライバー

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