中でも外食や小売りはもともと賃金が低く、金額を上げて募集しても人材の確保や定着率は低いままだ。
「外食で、いち早くシニア層の採用に着手したのはモスバーガー。仕事の覚えが悪い面はあっても、背に腹は代えられないようです。マクドナルドは全国で主婦向けの仕事体験会を実施し、主婦層のアルバイト拡充に注力しています。物流最大手のヤマト運輸は、主婦や高齢者が自宅周辺で宅配できる仕組みを導入し、約1万人ものアルバイトを採用中です」(経済誌ライター)
主婦のアルバイトは、子どもや家族の用事で突然の“お休み”も多く、短時間勤務でのシフトが組みにくいと言われていたが、週に1〜2回、1日2時間などの超短時間勤務で募集するなど、人手の確保に苦心しているケースも目立っている。月数万円程度の余剰資金は家計の足しになるし、これまで雇用が少なかったシニアや主婦の採用は、人手不足解消の一端を担いつつある。
「1年前に発表されたサービスが今、改めて注目されています。配車アプリサービスを手掛けるUber(ウーバー)による、食品の配達サービス『ウーバーイーツ』です。飲食店と提携し、ウーバーイーツに登録している飲食店の料理を、同サービスに登録した一般の方が配達する仕組みで、呼び出しから支払いまで、すべてスマホのアプリ上で完結できます。自転車か自動二輪を有する人であれば、誰でも配達員になることができ、自身が空いている時間のみ働けるので、副業としても魅力があります。通常、デリバリーを行っていなかったレストランは宅配サービスを利用できるようになり、双方にとってメリットがあるのです」(同)
出前を頼んだら、隣に住んでいるおじいさんが配達してくれた――そんな時代が訪れる日も近い。