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昨年は17億円超の大赤字も、危機感ない日本相撲協会

 八百長騒動に揺れるなか、10年の日本相撲協会の決算が明らかになった。経常収入は92億7756万円、経常支出は110億5284万円で、17億7528万円の大赤字。09年は3億4876万円の黒字を計上したが、08年以来、2年ぶりに赤字に転落した。

 主たる原因は7月の名古屋場所が野球賭博問題で、NHKが生中継を取りやめ、約5億円といわれる放映権料が入らなかった点が挙げられる。だが、NHK放映権料を差し引いても、12億円超の赤字だ。

 屋台骨を支える事業収入は84億3032万円で、前年(09年)の95億8650万円から、11億5618万円も激落しており、深刻な客離れが起きているといえる。野球賭博によるイメージダウンもあったが、人気横綱だった朝青龍が昨年1月場所後に強制引退させられたことも大きく響いている。

 初場所3日目(1月11日)には、国技館が両国に移って以降、史上ワーストのチケット売れ残り記録をマークするほど、不入りは続いている。これには、番付上位に強い日本人力士がいないことも要因していると思われる。日本人横綱となると、貴乃花(現貴乃花親方)が03年1月場所で引退して以降、実に8年間も出ていない。日本人力士の優勝も、06年1月場所の栃東(現玉乃井親方)以降、5年間なし。これでは、人気回復ができないのは当然。とはいえ、こればかりは無理やりつくるわけにもいかず、時間もかかる。

 そうであれば、赤字回避のために経費を抑えていくしかない。一般企業であれば当たり前のこと。年寄、関取の給与、賞与、功労金等のカット。力士数を大幅に削減し、場所手当や部屋維持費、養成費等を減らす等の努力が必要。今年は春場所が中止となり、昨年以上の赤字が出ることが予想される。ところが、赤字決算が出ても、理事会では経費削減案など議題にも上らない。親方衆は自分たちの給料や、部屋維持費が減らされるのは困るからだ。

 協会は膨大な資産を有しているといわれている。しかし、それにあぐらをかいて黒字化を目指さなければ、資産はすり減るばかり。八百長問題が原因で公益法人化がかなわなければ、現状では株式会社としての経営は困難。上層部はもっと、経営面での危機感を感じるべきではかなろうか。
(ジャーナリスト/落合一郎)

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