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息子が突然口にした予言に驚愕…怪談「遺伝する霊能力」

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画像はイメージです

 船橋市内に住む主婦のTさんは、たびたび霊を目撃する。自身の奇妙な力で他人を怖がらせ、不安な気持ちにさせたくないと考えるTさんは、自分の恐怖心を黙って心の中にしまっていた。Tさんはこの奇妙な力が我が子に遺伝するのではないかと危惧していた。

 「この能力が息子と娘に遺伝しなければいいけれど…」

 この不安は的中し、2人の子供にTさんの能力が遺伝してしまった。

 Tさんの息子と娘は、Tさんとはまた違った力を見せるようになった。

 どうやら息子は少し先の未来が見えるらしく、しばしば不気味なことを言う。ある日家族でドライブを楽しんでいたところ、息子が突然おびえた声で

 「お父さん、高速道路に乗らないで」

 と告げた。

 息子の様子を心配したTさんの夫は

 「どうしてそんなことを言うんだ?」

 と、後ろのシートに座る息子に聞き返した。

 「だって、高速道路で事故に遭って、お母さんが車に挟まれて死んじゃうから…」

 助手席で聞いていたTさんは、息子の返答に思わず言葉を失った。

 「だから…お父さんお願い…」

 息子はおびえながら、そうお願いするのだ。

 その日は息子の言う通り高速は避けて、ドライブを続けることになった。

 とある日、仕事に行こうと準備に急ぐTさんを息子が呼び止め、こう言った。

 「お母さん、今日は公園を通り抜けていかないでね」

 「…え?公園?」

 Tさんはときどき、通勤の際に近道しようと通っている公園がある。

 この公園を通り抜ける道を見つけたのはTさんだけで、子供には通勤ルートの話をしたことはない。

 Tさんにしか分からない道を、息子が知っていることに不気味に感じ、Tさんは聞き返した。

 「どうして今日はそんなことを言うの?」

 「だって公園を通ったら、お母さんが誰かに縄で縛られて、脇腹を刺されて死んじゃうんだもの…」

 その日は息子の不安そうな様子が頭から離れず、Tさんは違う道を使って通勤した。

 息子だけではなく、娘にも霊視能力があるようだ。

 ある日、自宅のマンションのエントランスで娘を抱っこしていると、娘が肩越しに手を振り

 「バイバーイ!」

 と、誰かに別れを告げた。近所の人かと思ったTさんは娘が手を振る先に視線を向けたが、誰かいた気配はない。

 「何…!誰にお別れを言ったの?」

 すると娘は、まるで「言いたくない」と言わんばかりに顔をTさんの胸にうずめて

 「…」

 何も答えなかった。

 Tさんはその様子を察して、仕方なくそのままエレベーターに乗り自宅のフロアに上がった。娘がとても大人しいので、Tさんは不思議に思った。

 玄関のドアの鍵を開け、ノブに手をかけながら娘を抱き直した時、娘は小さく泣きそうな声でTさんにささやいた。

 「またいるよ…」

 Tさんはすぐさま娘を抱いて部屋の中に入った。

 2人の子供に自分の力が遺伝したことを、Tさんは不安に感じている。

 子供たちが自分の能力を怖がらないように、Tさんは母として自分の「能力」を2人に伝えようと決めたのであった。

(山口敏太郎)

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