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球界地獄耳・関本四十四の巨人軍、ダッグアウト秘話(7)

 今の時代はキャンプでもシーズン中の遠征でも1人1部屋が当たり前になっているが、V9当時は日本式旅館だったから、たとえONでも相部屋だった。だから相手の知られざる素顔が嫌でもわかってしまうし、抱腹絶倒のエピソードもゴロゴロ転がっていたよ。

 オレはなぜか森さん、黒江さんとの3人部屋が多かった。いつもホリさん(堀内氏)やカズミさん(高橋一三氏=現山梨学院大監督)の部屋にいて、自分の部屋に戻るのは寝るときだけ。森さんと黒江さんから「お前は何で部屋にいないんだ。オレたちが嫌いなのか?」と聞かれたから「ハイ」と答えてやった。その理由も「2人でこそこそスポーツマンらしくない話をしているんで」とハッキリとね。
 オレはなかったけど、長嶋さんと相部屋になると大変だよね。野球選手には珍しい早寝早起き。長嶋さんと高田さん、この2人の早寝早起きはV9ナインの間では有名だったからね。長嶋さんは立大の後輩の土井さんと相部屋が多かったが、傑作な話を聞いたことがある。2人でテレビのミステリー番組を見ていたら、突然、長嶋さんが「犯人がわかったぞ、土井! もういい。テレビを消せ。寝るぞ」と言い出し、土井さんは絶句したというんだ。それはそうだよね。せっかくミステリー番組を楽しんで見ていて、しかも長嶋さんの推理が当たっているかどうかわからないのに、途中でテレビを消せでは、蛇の生殺し状態だよね。

 品行方正で神様のように思われている王さんにも意外な伝説がある。一つは寝相の悪さにまつわるものだ。須藤さん(豊氏)が今でも首をひねっているよ。
 「王と相部屋で寝ていたんだが、次の朝になったら、王がいつの間にか、オレを乗り越えて反対側にいるんだよ。オレは全く気がつかなかった。どうやってオレを乗り越えていったんだろうと不思議でしようがない。でも、乗り越えたのは事実なんだから、すさまじい寝相の悪さだよな」と。
 王さんの寝相伝説は、相部屋になったことがあるオレもよくわかる。寝ている間に、あの丸太ん棒のような足を胸の上に置かれて、息苦しくなって目が覚めたことがあるからだ。最初は寝ぼけていて何が起きたのかとビックリしたが、王さんの丸太ん棒のような足を見て納得した。

 ホリさんの爆撃機のような往復のイビキ伝説も脅威だったね。相部屋になったら眠れやしないから、みんな戦々恐々としていたよ。森さんは部屋が真っ暗でないと眠れないとか、宵っ張りの柴田さんは、翌朝、あの濃いヒゲがボウボウの状態で、青い顔をしていて不気味だし、まあいろいろありましたよ。
 誰と誰が相部屋になるかは、監督の川上さんの信頼厚い、鬼のV9マネージャー・山崎さん(弘美氏)に決定権があった。だから、レギュラー選手しか「相手を代えてください」とは言えない。森さん、黒江さんと3人部屋が多かったのは、オレに対する嫌がらせじゃないかと思ったもんだよ。

<関本四十四氏の略歴>
 1949年5月1日生まれ。右投、両打。糸魚川商工から1967年ドラフト10位で巨人入り。4年目の71年に新人王獲得で話題に。74年にセ・リーグの最優秀防御率投手のタイトルを獲得する。76年に太平洋クラブ(現西武)に移籍、77年から78年まで大洋(現横浜)でプレー。
 引退後は文化放送解説者、テレビ朝日のベンチレポーター。86年から91年まで巨人二軍投手コーチ。92年ラジオ日本解説者。2004 年から05年まで巨人二軍投手コーチ。06年からラジオ日本解説者。球界地獄耳で知られる情報通、歯に着せぬ評論が好評だ。

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