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高校生左腕エースはプロで落第説

 7日に開幕した夏の選手権大会。最大の注目は、エース松坂大輔(現レッドソックス)を擁した横浜高以来、史上6校目の春・夏制覇に挑む、沖縄・興南高の左腕トルネードエース・島袋洋奨だ。連覇の成否と同時に、プロ野球界では「高校球界の左腕エースはプロでは通用しない」という新たな定説があるからだ。

 1年前に甲子園を沸かせ、メジャーリーグ球団までが入り乱れ、大争奪戦が繰り広げられた、花巻東の左腕エース・菊池雄星は、ゴールデンボーイとして西武に入団したが、今はタダの人になっている。二軍でも活躍できず、つい最近、話題になったのは、西武から解雇された大久保博元二軍コーチの「いきすぎた指導」、暴行事件の被害者だったことくらいだ。
 「30年に一度の逸材。1年目から10勝できる」とまで言われた雄星なのに、今では「巨人・辻内の二の舞ではないか」とまで言われている。大阪桐蔭で甲子園4強。国内左腕最速の156キロをマークするなど大騒ぎされた辻内崇伸だが、巨人入りして今季で5年目だが、故障もあって、いまだに芽が出てこない。まだ1年目なのに、雄星もその辻内と同じ道をたどるのではないかと、ウワサされているのだ。
 球界OBが「高校球界の左腕エースはプロでは通用しない」というプロ野球界の声を、こう解説する。
 「高校球児では、ちょっといい左腕にかかると全く打てない。プロの世界でも左腕の145キロは右腕の150キロに匹敵すると言われるくらい、左腕は打ちにくい。だから、プロのレベルよりはるかに低い高校球児が雄星や沖縄興南の島袋を打てないのは当然だ。そういう現実があるが、ネット裏で見ていると、高校球児のレベルの低さを忘れ、ついつい左腕エースを過大評価してしまう。本人もその気になってしまう。そこから悲劇が始まる」と。
 過去には、国鉄・金田正一、近鉄・鈴木啓示、阪神・江夏豊ら高校球界からいきなりプロ入りして大成功、大投手になった左腕はいる。西武、ダイエー、巨人、横浜、西武と渡り歩き、いまだに現役の工藤公康もいる。が、現在の日本プロ野球界を代表的する現役バリバリの左腕は、大学、社会人出身ばかりだ。ソフトバンク・杉内俊哉、和田毅、ヤクルト・石川雅規、中日・岩瀬仁紀…。

 興南のトルネード左腕といわれる島袋が、史上6校目の春・夏連覇を成し遂げれば、大学生投手豊作の今秋のドラフトで1位はなくても上位指名される可能性が出てくる。が、巨人・辻内、西武・雄星の例を目の当たりにすると、即プロ入りは危険が伴うことになる。
 「島袋は大学進学を希望しているという話も聞いているが、そうした方が賢明だと思うよ。ソフトバンク・和田、ヤクルト・石川がそうだし、大学でなければ、社会人という選択肢もある。ソフトバンク・杉内が成功例の典型だ。中日・岩瀬など大学→社会人を経験しているからね」
 前出の球界OBが興南・島袋にいきなりのプロ入りを回避するように勧めるのは当然か。
 が、2度あることは3度あるという危険を避けずに、3度目の正直で、プロに挑戦する姿を見てみたい気もする。その前に、史上6校目の春・夏連覇が先決だが、どういう選択をするのか、沖縄・興南の島袋に注目だ。

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