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野球バカコラム・「“悪の帝国”らしからぬ? 静かなるヤンキース」

 先日、MLBアメリカンリーグ(以下「ア・リーグ」)西部地区に注目というコラムを書かせていただいたが、筆者は松井秀喜が在籍してた頃までは、MLBでは元々ニューヨーク・ヤンキースのファンであった。

 今でもヤンキースは大いに注目している。毎年、シーズンオフになる度に他球団からの大物FA選手を大金で獲得し、“悪の帝国”などと呼ばれるヤンキースだが、昨年から今年にかけてのオフは、そんなヤンキースにしては、やけに静かな印象を感じるオフであった。
 もちろんヤンキースお得意のFA補強をまったく行わなかった訳ではなく、昨年ア・リーグのセーブ王に輝いたラファエル・ソリアーノ(前・レイズ)と、もう一人、ドジャースからラッセル・マーティンという投手を獲得したが、どうしてもヤンキースにしては地味としか思えない。
 というのも、昨年オフのFA市場の一番の目玉といわれたクリフ・リー(前・レンジャーズ)の獲得をヤンキースは全力で狙っていたが、最終的にフィリーズに奪われてしまう。ソリアーノも十分に大物だとは思うが、昨年のレンジャーズ初優勝の立役者のクリフ・リーに比べるとなあ、という気持ちはどうしても否めない。

 もう一つ、今回のヤンキースが地味な印象として、比較の問題もあって、最大のライバルであるレッドソックスが随分と派手な補強を行ったからというのもある。
 まずはエイドリアン・ゴンザレス(前・パドレス)をトレードで獲得し、そしてなんといっても野手陣では最大級の大物FAだったカール・クロフォード(前・レイズ)も獲得。投手の方もブルペン要員としてボビー・ジェンクス(前・ホワイトソックス)を始め、ダン・ウィーラー(前・レイズ)とマット・アルバース(前・オリオールズ)という投手も獲得している。
 こうなると、ヤンキースとレッドソックスのどちらが悪の帝国なのか分からなくなってきそうである。

 そもそもヤンキースにはクリフ・リー獲得に匹敵する重要事項として、デレク・ジーターとマリアノ・リベラの残留交渉という大仕事が今回のオフにはあったので、あまり他球団からの大物選手の獲得だけに気を配ることは出来なかったのかもしれない。筆者としても、90年代〜00年代のヤンキース黄金時代を支えた二人の生え抜きがピンストライプ以外のユニホームを着ることはまったく想像することができない。
 とはいえ現代のヤンキースが生んだスーパースターであるジーターにも、昨シーズンは明らかに衰えが目立ち始め、リベラも、あとどれぐらいクローザーとして君臨することができるかが分からなくなってきている。アンディ・ペティットが引退した今、ヤンキースには新たなる世代の生え抜きのスターの登場が待たれる時が来たのかもしれない。

 他球団からの大物選手ばかりを補強するイメージがどうしても目立ってしまうかもしれないが、ヤンキースはしっかりと生え抜きのスターを育てることもできるのである。前述したペティット、リベラ、ジーターも然り、他にもバーニー・ウィリアムズやホルヘ・ポサダといった選手が、同じく90年代〜00年代の黄金時代を構築した立役者となっている。
 現在はすでに、バーニーは事実上の引退状態となり、ポサダも衰えが目立ち始めているので、彼らに代わって2010年代のヤンキース黄金時代を作りあげていくであろう生え抜きのスターの登場に期待する。
 その最有力候補がロビンソン・カノであろう。だんだん中堅どころに至り、脂が乗り切った時期に差し掛かってきた。投手陣もジョバ・チェンバレンとフィル・ヒューズといった若手の期待どころがいる。しかし彼ら以外にも、もっと生え抜きのスターにご登場願いたいどころである。今回、補強が比較的おとなしかったヤンキースにとって、新たなる才能を自チームから見つけるきっかけとなるのではなかろうか。

 先ほどの補強の話題に戻るが、そういえば今回のオフの移籍は随分と(前・レイズ)という表記が多い気がする。つまり今回のオフはレイズから沢山の選手が出て行ったことになる。ここ3年間、ア・リーグ東部地区において、ヤンキースやレッドソックスに勝るとも劣らない強さを発揮しているレイズだが、これにより今シーズンはどう影響していくのか? レッドソックスの大型補強は成功するのか? ヤンキースはどう戦っていくのか? オリオールズは? ブルージェイズは?
 やはりア・リーグ東部地区にも要注目である。レギュラーシーズン終了時の順位が楽しみである。

(野球狂のアキバ系・伊藤博樹「一番好きな“海外の”アスリートはデレク・ジーター」 山口敏太郎事務所)

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