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肉体労働を避けるネカフェ難民

 ネカフェ難民の間で、肉体労働拒否の輪がひろがっているという。その理由のひとつとして、ポスティングという職種がアツいらしい。噂を追ってみた。

 ポスティングとは、文字通りポストにチラシを投函する仕事である。A社では、1枚10円程度の完全出来高制なので、たとえば一時間125部配れば1250円になる。これなら、割はいいだろう。
 別のB社の例。一枚2.5円なので、3200部配ってようやく日給8000円程度。先ほどのA社が1時間125部配ることを目安にしているのでそれにならうと、8000円もらえるのに、25.6時間かかる。このように、条件は各社ばらばらのようだ。

 ネカフェ難民を装って電話してみた。ある渋谷の業者の談。

 「うちには、一日100人を超える方からの応募が殺到しています。大規模な事業なので、半年やっていただくのが条件で全部雇いますよ。ご住所、それに外に出るので何かあったときの緊急連絡をなんとか確保していただければけっこうです。都内全域に寮があり、いろいろな方がいます。寮にはまったく無料で入っていただけますし、生計も立てられるはずです」
 ということだった。一日100人が応募しているとは驚きだ。この業者、女子寮まで完備しているという。そう、2007年の厚生労働省の調査で5000人超だったネットカフェ難民のうち、4割は女性だった。いったん住所がなくなればホームレスになる。そのためにも寮の存在は大きい。
 まさしく現代の住み込み労働、がこのポスティングという職種のようだ。

 「携帯がつながっているうちなんとかしたい、と思って、はじめました。派遣はかったるいし、交通量調査も今仕事が取れません。これも、入れ方研修があるし、長時間荷物を抱えて歩くのはきついというより、重労働。でも気楽ですからね」とは、新宿でポスティングをしていたの20代男性の弁。

 ネットカフェ難民とは、住所不定と定義されるのでその定義付けにもよるだろうが、十分にセーフティーネットとしてこのポスティングという仕事が機能していることには、間違いなさそうだ。(了)

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