「事件性はありませんでした。女性は生活意欲などの衰えから、身の回りのことができなくなる、いわゆるセルフネグレクトだったのです」(全国紙社会部記者)
セルフネグレクトとは、自己放任。生活するために必要な行動意欲や能力をなくし、健康を損なってしまう状況で、超高齢化社会を迎えて急増しているという。
ノンフィクション作家の窪田順生氏がこう言う。
「他人の世話になりたくない。ごく普通の理由から、そんなセルフネグレクトは誰でもなり得ます。これは、緩慢なる自殺ですよ。高齢化が進み、行政がこの問題に向き合わない限り、千葉県のような事例は今後も増え続けるでしょう」
例えば、必要な食事をとらず医療を拒否し、不衛生な環境で生活を続け、家族や周囲から孤立…、そのまま孤独死に至るケースも少なくないのだ。
「持ち家ならともかく、賃貸の家で孤独死して発見が遅れた場合は、遺体が腐乱して身内が大屋さんに弁済しなければならなくなる。自分だけの問題ではなくなるのです」(同)
原因は様々だが、治療期間の長い病気にかかることでの失望感や、家族や近隣住民との関係が上手く行かず、精神的に苦しくなることがきっかけでもなるという。
「身内や大切な人の死がきっかけで生きる意欲を失い…という場合もあります。その機会の多さを考えても、やはり高齢者のほうが陥りやすい。ただし、若者や中年でも、離婚や職場でのストレスが原因で招くこともあります。休日に洗顔や歯磨きが億劫だったり、部屋の掃除をまったくしない場合は“予備軍”の可能性もある。まずは自分の現状を把握することが大切です」(健康ライター)
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