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輪廻転生〜江戸時代の記録〜

 チベット仏教において最上位であり、元首でもあるダライ・ラマ。その継承は輪廻転生によって継がれている。没後、僧たちに予言された転生候補者の、例えば先代ゆかりの品物における前世の記憶、同様のくせを試し、転生者と認定されると継承儀式を受け、成人(18歳)とともに即位する。しかし、こういった宗教的儀式だけではなく輪廻転生の事例は多数存在する。江戸時代の国学者平田篤胤が記録した日本の古い事例を紹介しよう。

 江戸時代、今の八王子市にあった中野村。百姓の源蔵の息子勝五郎は八つになった。ある晩、いつものように祖母と寝床についた勝五郎は奇妙なことを話し始めた。
 僕の本当の名前は藤蔵なんだ。父さんの名前は久兵で、母さんの名前はお志津。程久保村に住んでいた。僕が生まれてすぐ父さんは死んで、僕も五歳で死んでしまった。だからこの家で母さんのお腹に入って生まれてきたんだ。
 勝五郎は自らの転生を語り、更には死後の世界まで語ったという。半信半疑の祖母だったが、八つの子供の話にしてはあまりにも具体的だったため、村の集まりで話してみたところ、十五年前の程久保村の状況と酷似していることが分かった。噂は広がり程久保村にも届いた。興味を持った人が勝五郎を訪ねると、行ったこともない程久保村や、藤蔵の家の有り様を克明に語り、話はますます信憑性を高めていった。驚いた人々が勝五郎を程久保村に連れて行くと、藤蔵の死後変化した村の情景を逐一指摘していったという。
 平成となった今も、藤蔵、勝五郎ともに墓が現存している。

七海かりん(山口敏太郎事務所)

山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou/

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