会見5分前の同日12時35分、司会役の学校職員が「1時10分から授業なので、その前に退席する」と伝えた。会見は同40分に始まり1時09分まで続いたが、早実は12時20分まで午前中の授業がある。司会役のアナウンスで時計を見た記者団は、「昼メシ、食ったのか?」と失笑。だが、清宮が登壇すると同時に会場の空気は一変した。
「王貞治さんのような野球人になりたい。868本塁打に挑戦できるよう…」
プロ入りへの固い決心を打ち明けたのだ。しかし、ある質問に関してだけは明言できなかった。「希望球団は?」の問いに対してだ。
「メジャー志望の強い球児は、12球団のどこでもいいという発想です。清宮家はNPBの有力者に進路相談をしており、『プロ志願届を出し、指名した球団の育成方針に懸念があるようなら、交渉決裂。そこから進学に切り換えても大丈夫』の助言を得ています」(関係者)
清宮は「12球団OK」ではなく、「自分を成長させてくれる球団」と語った。
この発言を“警戒”する球団も出始めた。
「指名して、断られる可能性もあるんでしょ? こっちにもメンツがある」(某スカウト)
いち早く阪神が1位指名を表明したものの、他球団が慎重な姿勢を崩さないのはそのためだ。「早実の先輩であり、尊敬する王貞治さんが…」との発言を受けたソフトバンクも慎重だ。
「ソフトバンクからは過去何人もメジャー挑戦していますが、すべてFAでの渡米で、入札制度を使ったことはありません。公言していませんが、入札制度に反対なんです」(ベテラン記者)
入札制度に否定的な球団といえば、巨人も有名だ。しかし、両球団とも清宮は『スター候補』で、是が非でも欲しい。そこで両球団は伝家の宝刀を抜く。ソフトバンクは尊敬する王貞治球団会長にも交渉のテーブルに付いてもらう。巨人は長嶋茂雄終身名誉監督の出馬で、これに対抗する。
「ドラフト前に指名予定球団による面談を行う方向で調整も始まりました。楽天も父・克幸氏と親しい星野仙一副会長を出すと思いますが、ONが頭を下げるとなればかないません」(同)
尊敬する王会長、カリスマ・長嶋氏が出てくれば、清宮も早期のメジャー挑戦の夢を諦めるだろう。阪神ファンの清宮は金本監督の現役時代を見て、左バッターに転向している。
ONの牙城をどう切り崩すか見物だが、ドラフト前の面談で「相思相愛」の関係が出来上がってしまうかもしれない。さらなる“波乱”はあるのか…。