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世田谷区が実践する保育園と老人ホーム併設の可能性

 厚生労働省の最新データ(9月1日公表)によると、希望しても保育所などに入れない全国の待機児童数は今年4月1日時点で、2万6000人余になるという。一方、介護への家族の負担をなくすためには、老人ホームの増設も急務だ。

 こうした大きな二つの社会問題を一挙に解決できそうなのが「保育園と特養の併設型施設」だ。待機児童数が5年連続ワースト1位となってしまった東京・世田谷区は、解消に向け新たな施設の開設を進めている。
 「区所有の土地を民間の社会福祉法人に貸し、4階建ての建物の1階部分に認可保育所、2階〜4階までを特別養護老人ホームにするのです。これは土地を有効活用して用地取得のコストを削減し、かつ狭い土地を有効利用するための試みです」(福祉ジャーナリスト)

 同区と同様に待機児童問題が深刻な東京・武蔵野市でも、今年3月から「特養+事業所内保育所」を開設している。同じような動きは同じく都内の目黒区でも計画され、他の自治体でも導入が進んでいるようだ。
 「しかし、これで万事解決というわけにはいきません。施設を完全分離しての併設ならともかく、庭や他の施設を共有する老人施設と保育園の併設には問題があります。特養は入所しているほとんどのご老人が要介護者です。子どもとの共通点は、身体が弱いことと判断力が低いこと。保育園は0歳児からいます。ご老人は体が弱っているので、MRSAや結核、インフルエンザなどに罹りやすく、しっかりと分離しないと感染症の問題が浮上しかねません。つまり、衛生面や安全面などで、ご老人と子どもたち両方の安全を守る対策が必要となってくる。むしろ、公立小中学校の一角に公設民営の認可保育園ができる方が望ましいのですが、特に都内では既得権益を握る文部科学省がなかなか応じません」(同)

 少子高齢化社会では、知恵を絞り続けて岩盤規制をブチ破ることが必要なのだ。

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