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山口敏太郎の直言(5) 「天才肌の関西芸人を、東京でも見たいものである」

 関西ではローカルの人気番組に出たり、人気のある芸人なのに、何故か東京ではブレイク出来ない芸人がいる。関西と関東では笑いのツボが違うと言えばそれまでだが、関西で売れた後、関東でも通用する芸人がいることを考えると、そこに何か秘密があるのかもしれない。

 例えば、メッセンジャー黒田、吉本新喜劇を支える若き座長・小籔千豊、ミュージシャンとしても活躍している二丁拳銃、隠れた実力者としてマニア受けの良い千鳥などは、関東でもっと評価されても良いはずである。
 最も指摘されることは、キャラの立て方である。関東でもキャラの立つ芸人は人気者になることが多いが、そのキャラは自虐キャラであったり、どこか愛される部分があるキャラであったりする。
 志村けん、出川哲朗、江頭 2:50、ダチョウ倶楽部、東京で売れるキャラ芸人は、まず自分をいじるところで笑いをとっている。
 だが、関西で受ける芸人は、お笑いへのプライドが有りすぎるからだろうか。己を堕としてまでも笑いをとることをしない。高い目線から、一般人や視聴者を罵倒したり、いじり倒すことが許容されている関西芸能界に慣れてしまった芸人には、一般人に媚びるような自虐ネタはなかなか出来ないのである。

 最も大きな理由は、日常生活で有名人や芸能人を頻繁に見かけるため、芸能界になれてしまった東京において、関西から出てきた関西芸人を特別視しない事である。
 関西においては、テレビに少し出るだけで特別扱いされ、町中でもおばちゃん連中に頻繁に声をかけられ、 大して売れてない芸人でも勘違いするような状況になるのだが、関東に出てきた途端、まったく無関心の状況におかれる。
 関東の場合、見てないふりをして、こっそり見ているのだが、積極的な関西のおばちゃんとは違って、声は絶対にかけない。これはテレビの現場でも同じである。やたらに声をかける関西スタッフと違って、関東のスタッフはクールでビジネスライクである。この違いは単なる地域性なのだが、それに気がつかない関西芸人は「東京は冷たい」という安直な答えを出してしまい、関東に敵意を持ってしまう。これが悪循環を生むのだ。

 また強すぎる関西愛や関東への不快感も、関東の視聴者は嫌うようだ。良い形で郷土愛を出せば問題ないのだが、東京への ライバル心という形で関西愛を強調した場合、それは関東での成功を閉ざすことになる。
 才能あるお笑い芸人が関西には沢山いるが、関東進出の場合は関東に永住するぐらいの気持ちで来ないと成功は難しいであろう。いや中途半端な形で関東に出るぐらいならば、関西で独自路線を極め、俺を見たいならば、関西まで来いという姿勢を打ち出すのも戦略ではないだろうか。(山口敏太郎)

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