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GW直前緊急特集 巨大地震を呼ぶ火山噴火「警戒地域」〜富士山、蔵王山、吾妻山、桜島、御嶽山ほか〜(2)

 噴火の可能性があるのは何も東北の火山に限らない。現在警戒レベル1程度の火山でありながら、専門家の目から見れば噴火の恐れのある火山はある。
 「浅間山、三原山、阿蘇、霧島などの火山は、本格的な噴火をした後、本来なら火口底が300メートルほど沈まなければならないのに、上空から見ると火口底が目視できる。これはつまり、太平洋プレートにマグマがギュッと押し上げられた状態が続いているということです。このように上空から確認できる以外にも、マグマが押し上げられた状態の火山は増えていると考えています」
 こう語るのは、御嶽山の噴火を予測していた琉球大理学部名誉教授の木村政昭氏だ。

 その中でもとりわけ気掛かりなのは、伊豆大島の三原山だという。
 木村氏に続けてもらおう。
 「三原山は日本の“ヘソ”と言えます。地震についても噴火についても、シグナルを出し続けている。そのメカニズムはこうです。まず三原山が大噴火し、その後、北海道、東北で地震が起きる。やがて三宅島などが噴火し、その後にやって来るのが、南関東での大地震なのです」

 関東大地震(1923年)でもそうだった。大震災の起こる5年前に千島列島の一つの得撫島で、M8.6の巨大地震が発生。大震災の半年前には、三原山で噴火を記録している。
 '53年の房総沖地震(M7.5)も同様だ。
 「その前年には、M8.2の十勝沖地震があり、続けて三原山が小噴火を起こし、房総沖地震へと至るわけです」(同)

 最近の三原山を見れば、'86年に大噴火し、'93年〜'94年にかけては北海道・東北でM7.8の巨大地震が2度、M8.1が1度発生している。そして、2011年には東日本大震災が発生。三原山噴火をめぐる巨大地震の勃発は、驚くほど一致しているのだ。
 「三原山噴火はおおむね30年周期です。前回の大噴火が'86年ですから、今度は2016年前後。ということは、いつ噴火しても不思議はないということです。私のグループの研究者が目視したところ、火口底は上がったまま。つまり、噴火の準備ができていると見ていい。噴火の直前まで警戒レベル1ということもあり得ますから、ゴールデンウイークの登山は警戒レベルだけを頼りにしない方がいいでしょう」(同)

 一方、九州の火山はどうか。雲仙普賢岳、阿蘇、霧島、桜島など、九州には活発に活動する火山が多い。
 まずは霧島。国土地理院は火山周辺に4つのGPS観測点を設置し、山の変化を調査している。地下にマグマが蓄積されると山全体がわずかに隆起し、観測点間の距離が広がるためだ。
 結果、2009年末からマグマ供給が急速に進み、えびの観測点と牧園観測点の距離が'11年1月までに約4センチ広がった。その後、噴火で大量のマグマを放出したため、2点の距離は約3センチ縮んでいる。ところが、昨年9月までに再び約3センチ広がった。これは、マグマ蓄積量が'11年の噴火直前の水準にまで達していることを表し、「新燃岳の再噴火はかなり近づいている」(前出・サイエンスライター)という。

 また、過去に死者を伴う大噴火を起こしたこともある桜島も同じく脅威だ。
 「桜島の場合、日本で今まで起きてきた100年に数回の大噴火が起きることも十分考えられる」
 と地元の火山学者は言う。
 実際、年明けからは「山体膨張」の変化が観測されている。気象庁は「地下のマグマが上昇しているため」と見ており、場合によっては火砕流を伴う大噴火を起こす可能性もあるとして、地元民は避難訓練も実施している。控えめに発表する気象庁が警告するほどなので、その可能性は高いともいえる。
 「過去100年、日本の火山は非常に静かでした。しかし歴史をひもとくと、100年に4〜5回は大噴火を起こしている。桜島に限っていえば、1914年の大噴火が特筆に値するが、北海道駒ヶ岳の'29年の噴火も、それと並び20世紀に国内で起こった最大級の噴火です。これまで静かだったからといって、これからも静かだとは限らない。むしろ、これまでがレアケースだと思って備えるべきです」(前出・サイエンスライター)

 油断できない噴火と巨大地震の連鎖。とはいえ噴火に関しては、注意しろと言われてもレジャーで登山に出掛けることもある。
 防災ジャーナリストの渡辺実氏はこう注意を促す。
 「たとえ警戒レベルが1であっても、まったく活動しないわけではないことを心得て侮らないことです。登山カードはしっかり書いて警察に提出してほしい。入山中はラジオ、携帯をオンにし、警報アラームが入ったらすぐにわかるようにしておくことが必要です」

 自分の身は自分で守るしかない。

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