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西田隆維の映画今昔物語 第26幕『稲穂の無頼 〜哀しき相克〜』

 <今日のテーマ>対峙する男の凄み

 監督は金澤克次さん、主演は遠藤憲一さんの作品です。
 次回の舞台での役がちょいワルの恐い?役であるため、このところヤクザ映画のDVD作品を観まくって役柄を考えています。ちなみに最近の私の悪さといえば、電車への駆け込み乗車でした(JR東日本さん、すみませんでした)。

 さて作品内容は、蒼龍組上州吉村一家の幹部・国仲忠士(遠藤憲一)は、総長の丹波武成(伊吹剛)の下で修業を積み「国定忠治の再来」とまで呼ばれていた。組に莫大な利益をもたらす忠士の稼ぎは他の幹部からも賞賛を得ていた。その稼ぎとは大使館を使っての拳銃の密輸などであった…。
 一方、総長の息子である武士(倉見誠)は、ヤクザのあるべき姿を「人様に迷惑をかけず、困った人には手を差し伸べろ」という任侠道を歩む男であった。人より多くの上納金を組に納めるということでしか、良し悪しを判断してもらえないのならば「オレにはヤクザは務まりません」という男でもあった(どちらかというと武士の方がカッコいい)。
 武士はヤクザの本来あるべき姿を求める中で忠士のやり方が気に食わなかった。いや、忠士に対する組の評価が気に食わなかった。

 しかし、忠士は世話になった丹波総長にいい思いをしてもらいたいという気持ちで動いているため、武士の都合を言われ困っていた。
 盃で結ばれた義理の親子と血の繋がりのある実子の親子関係では、いつしか組の内部での関係に歪みが出てきた。それでも忠士が丹波総長に対する思い入れは変わらなかった。
 人のために忠誠心を持つという感情は、生死に関わる世界においてのカリスマ性や事件がない限り持てない感情だと思えてくる。
 正直、私はこれまで忠士のように忠誠心を持ったこともないし、武士のように本来あるべき姿の道をブレずにひたすら進むこともなかった。周りの情報や流行に目が行き、フラフラした自分自身に気付き、ふとした時に、何をやってるんだろう? と感じることがある。
 忠士と武士の両者は同じ世界で生きながら目的が違っていたが、その目的はつねに明確であった…。
 この映画の中で、遠藤憲一さんが静かで優しく喋りながらも、時折見せる威圧する眼光と強い口調が、より一層恐さを引き立てていたところに役作りの参考になる何かを感じることができた。

<作品プロフィール>
監督/金澤克次 脚本/鈴木修

出演/遠藤憲一 伊吹剛 加納竜 倉見誠・他

<プロフィール>
 西田隆維【にしだ たかゆき】1977年4月26日生 180センチ 60.5キロ
 陸上超距離選手として駒澤大→エスビー食品→JALグランドサービスで活躍。駒大時代は4年連続「箱根駅伝」に出場、4年時の00年には9区で区間新を樹立。駒大初優勝に大きく貢献する。01年、別府大分毎日マラソンで優勝、同年開催された『エドモントン世界陸上』日本代表に選出される(結果は9位)。
 09年2月、現役を引退、俳優に転向する。10年5月、舞台『夢二』(もじろう役)でデビュー。ランニングチーム『Air Run Tokyo』のコーチも務めている。

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